元余生闇精霊は元彼と対決する
レイ、いい加減にしてほしいよ。
前世がなにさ。
というかあれ、夢だよね。
「千嘉やっと会えた。」
レイがエシア外交官から逃れてバルコニーに出てた私のところに現れた。
なんで、いるんだろう?
「レーギュウス皇帝陛下、なんのご用ですか?」
私、薄情なのかな?
昔の余生時代みたいな執着心が微塵もわかないんだけど。
レイの後ろに三日月が見えて
レイのプラチナブロンドの髪がキラキラしている。
「千嘉今までほっておいてむしがいいかも知れないが、愛している、私は千嘉を手に入れるためなら皇位を捨ててもいい。」
レイが甘やかに微笑んだ。
ああ、この雰囲気だ。
この繊細な美貌に強い眼差し。
私はこの人を愛して…いないよ。
センカ、出てこないで!
私が好きなのは、
シグさん、シグルトさんなんだよ。
「そんなの不可能だよ。」
私はやっと言葉を絞り出した。
「なんでそう思う。」
レイが近づいてくる。
颯爽と大股で。
「だって、皇位を継ぐ人がいない。」
私は言った。
レイは兄弟がいない。
レイの親も一人っ子だったはずだ。
つまり、従兄弟がいないから、
どうしても、レイしか皇位につけない。
もう少し遠い親戚いるんだろうけど。
だから、レイのお父さんが体調不良で退位した時にレイが呼び戻された。
ムーラア帝国唯一の皇位継承者として。
「私は悟った、千嘉が他の男のものになると思うと仕事が手につかない。」
レイが私の手を握った。
ついに手を握られた。
この手でムーラア帝国を支えてるんだ。
センカが言う。
例え死んでも、レイを支えたい。
私は思う。
シグさん!大好き!シグさんと離れたくない!
「明正和次元に帰ろう、議会は私が皇帝だから結婚の承認をしないだけだ。」
レイが顔を近づけてきた。
「私は…。」
私は次元門は越えられない、この間ソウトントンが言ってた。
センカは言う。
死んでもいいレイと帰ると。
「千嘉。」
レイが私に口づけようとした。
「やめて、レイ!」
私は顔を背けた。
「何故だ、こんなに愛してるのに。」
レイが私をバルコニーの柵に押さえつけた。
「いや、やめて、私、シグさんが好きなの!」
私は少しパニックを起こしていた。
優しいレイがなんでこんなこと!
センカが言う。
「千嘉愛してる。」
レイが私を抱き締めた。
というか死ぬ、こんなに締め付けられたら死んじゃうよ!
「千嘉帰ろう。」
遠くでレイの声がする。
キラキラするものが見える。
レイの髪…だ!
私は思わす引っ張った。
「痛い!千嘉やめろ!」
レイが言った。
「レイのバカ!」
私は思いっきりレイを突き飛ばした。
「千嘉!?」
レイがビックリしたような顔をした。
「私はもう、あなたを愛してない!」
私は宣言した。
「嘘だ。」
レイが言った。
うん、センカは愛してるっていってる。
でも、私は…千嘉は
「私はシグルト・クレシアを愛しています!」
私は高らかと宣言した。
わー、またいっちまったよ。
二人間に緊張感が走る。
レイは寂しそうな顔をしている。
「陛下、首尾はどうなんですか?」
エシア外交官がホテホテと歩いてきてのんきに言った。
「アルシード外交官、千嘉は連れて帰る。」
レイが言った。
「誘拐ですよ、それ?」
エシア外交官がのんきに言った。
「どうでもいい、隠れ家に囲いこんで誰の目にもふれさせない。」
レイの目に狂気があった。
「私は止めるべきなんでしょうね。」
エシア外交官がのんきに言った。
なんかこの人妄想してないとつかみどころないよ。
「私、次元門、まだ越えられないから、お断りします。」
私は言った。
「千嘉、なにも考えなくていい、私だけ見てればいいんだ。」
レイはそういって私を再び抱き締めて今度こそ口づけをした。
強引に。
ついでになんか口移しされた。
なに?これ?
意識が遠のく。
本気でやる気なの?
レイ、レーギュウス…やめて…。




