腐女子外交官は妄想する
レーギュウス皇帝陛下はやっぱり
男の子が好きなのよ。
昼間の観光は素敵だったわ。
あの青年と美貌の皇帝陛下が…。
「ウフフ、今度は異世界編よね。」
私は呟いた。
うちは代々ムーラア皇帝の懐刀と言われるほどの側近なのよね。
でも、妄想が止まらないの-。
前作の占いの華嫁の時は
カユリの街の最高位の占い師(男)とラーユア帝国皇帝(男)のヒストリカル風の話だったし。
妄想小説最高よ。
「アルシード外交官、お楽しみいただけてますか?」
シグルト王太子殿下が微笑んだ。
隣にいるのは千嘉様よね。
次代キユリの再従兄弟で
皇帝陛下の元カノ?
でも、私は偽装だと思うわ。
次代キユリが皇帝陛下の相手なのよー。
当然うけは次代キユリよ。
「楽しいですわ。」
私はウフフと笑った。
シグルト王太子殿下みたいな人と
千嘉様を男の子にしてかいてもイイワネ。
それなら萌えるわ。
地味な少年が積極的な王太子殿下に
ウフフ。
「し、シグさん、私。」
千嘉様が怯えた。
案外、勘がイイワネ。
闇精霊ですっけ?
まあ、私は、レーギュウス皇帝陛下と
千嘉様が結婚しようがしまいが関係ないのよ。
オーレリア・アリウス嬢と結婚しても別によ。
個人的には次代キユリと手にてをとって駆け落ちが希望だけど。
現実的じゃないしね。
キユリと皇帝か…。
昔、あったわよね。
大昔だけど、
豊穣皇帝と天彩のキユリがいい感じだったっていう伝承が。
あんな楽しい事今はないんでしょうね。
あったら私の能力すべて使って応援するわよ。
「千嘉様は可愛らしいですわね。」
私は千嘉様男の子バージョンを妄想した。
黒髪の地味だけど優しい顔の男の子が思い浮かんだ。
その男の子を隣で愛しそうに見てる
銀の長い髪の王太子が強引にでもエレガントに口説き落とすのよ!
満月の夜のバルコニーで
逃げようとする少年を腕の中に閉じ込めて
愛を囁くの!
イイワ、とっても。
「し、シグさん、私ちょっと。」
少年いえ千嘉様がたじろいだ。
「疲れた?」
シグルト殿下が優しく彼、いえ彼女を抱き寄せた。
「う、うんごめん。」
千嘉様が言った。
ああ、いい、このまま抱き上げて
ラブシーンとか見られないかしら?
もちろん男同士で脳内変換するのよ。
「ウフフフ。」
別に皇帝陛下の恋が成立しなくてもイイワ。
国交交渉はうまくいったもの。
後は、趣味にはしるのよ。
クレシア王都でも見つけたのよ。
妄想小説。
異世界の妄想小説楽しみだわ。
ラースラ熱王国の王子とムリュ妖精国の若君の話だったわね。
「し、シグさん、私ちょっと熱に当てられたから、バルコニーで休んでくるね。」
千嘉様がそういってシグルト王太子殿下
の腕の中から出ていった。
あら、皇帝陛下チャンスじゃない。
皇帝陛下の端末にメール入れてシグルト王王太子殿下は引き留めときましょう。
「ちか、大丈夫ですか?」
シグルト王太子殿下が言った。
追いかけさせないわ。
「あの、今日は盛大ですわね。」
私は言った。
「え?ええ。」
シグルト王太子殿下が戸惑ったように言った。
うまく捕まえたから上手くやってください。
皇帝陛下、一応私も臣下ですから協力しますわ。




