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余生闇精霊は微睡む

夢をみた。

まだ、レイと会う前の夢を。

シグさんなんて全然知らなかった時代の


透明感のある宮殿?の中だ。

詳細はわからない、だれかに会ってる?

『私は、レイを愛してるので、なんでもできるのですよ。』

銀の髪の少年に言っている。

『あなたの献身を皇帝陛下はわかっているのですか?』

銀の髪の少年はいやみったらしく言った。

『別に良いのです。』

私は微笑んだ。

幸せそうに。


コノヒトダレ?

あったことないよね。


場面がかわるやっぱり、透明感のある宮殿?だけど、ベッドがおいてある私室っぽい。

『センカ。』

プラチナブロンドのレイと似てる

でも表情がたよりなさそうな男性が私を抱き締めた。

『レイ。』

私は嬉しくて寂しい気持ちでしがみついた。


ああ、あのゆめだ。

レイに会う前から見ている夢。

私は間違えなくコノヒトを愛してる。


自分も男なのに…。



『どこかで会ったことがないか?』

レイと初めてあったときそういわれて

うなずいた。


この記憶があったから。


私とレイは年齢的には私は大分上だ。

闇精霊だから成熟するのが遅かった。

私はこんな外見でも、95才だ。

種族的にはまだ若い。

会ったときは10年前だけど。

レイは59才だったはずだ。


明正和次元で年齢は言わない

成熟度が基準だから、

そう言えば、シグさんの年齢も知らないな。


千嘉(センカ)と呼んでいいか?』

レイが言った時ドキドキした。

この人はあの人の生まれ変わり?


確かめるすべもない。

いつの時代かわからないし。

正式名も思い出さない。


明正和学園時代は楽しかった。

看護師の資格取得の勉強も実習も大変だったけど。

レイがいればなんでも耐えられた。


考えてみればずいぶん依存してたな。


なんで、あんなに執着してたんだろう?


『センカ。』『千嘉(センカ)

二人の声がする。


私があの言葉に絶望して闇精霊の里に行ったのは…。


『しばらく会わないようにしよう。』

とレイと言われた瞬間。


このレイも私を捨てるのかと思ったからだ。


私はあの夢の中でどこかへ出ていく支度をしていた。


結局添い遂げられないなら…この人の前から消えようと強く思ったんだよね。


ご令嬢が来たのもその頃だけど、

それも少し、自棄感を加速させてた。


まあ、闇精霊だから、

闇精霊の里ににげこんだんだよね。

闇の精霊王なお祖母ちゃんが紫世界に

居たから…。


お祖母ちゃんは確かに何日かはむかえいれてくれた。

でも、言われたんだ。


『千嘉はまだ、おばちゃんじゃないの、こもってはいけないの。』

お祖母ちゃんの

闇の精霊王マーナが言った。

『私、おばちゃんでいいよ。』

私は言った。


もう、どうでもいいと思った。


『余生中のおばちゃんになるには、千嘉は若いの、どうしてもこもりたければもっと歳をとってから来るの。』

お祖母ちゃんが言った。


闇精霊の里の癒しの空気に触れてすら

ぐじぐじ悩む孫娘を慰めたんだろうけど。


私は変な風にとったんだ。


おばちゃんになれば、ここにこもってもいいんだ。


『ごくつぶしはいけないの。働くの!』

お祖母ちゃんは言った。


なら、働こう、老後の資金をためればいい。


余生中のおばちゃんって思えば…。

あの二人に捨てられたことなんて忘れられると。


今思えば、病んでたな…。

たかだか、レイに捨てられただけじゃん。


職場も病院じゃなくて

特別養護老人ホームだから

入所者様って普通に

『奥さん』『おばちゃん』『お祖母ちゃん』

よばわりするんだよね。

当然出合いもなし。

まあ、興味なかったけど。


私は地味な容姿だし

仕事は頑張ったけど

常に憂鬱感と脱力感にさいなまれてたしね。


もう、おばちゃんでいいやっておもってた。

ルナさんたち若手も私のことおばちゃんだと

思って、飲み会とか誘われないし。


ああ、病んでます。


そういえば、今はないなぁ。


環境の変化についていくの必死だったしね。

何よりも…シグさんがいるからかな?


そうだ、あの傷をなめられた瞬間

カルチャーショックをうけたんだ。

こんなことする人がいるんだって。


私はもう、あの瞬間からシグさんから

目が離せなかった。


だから、明正和次元に帰れないと聞いたとき。

残念半分、嬉しさ半分だった。


シグさんが見てられるって


でも、おばちゃん意識が

完璧に積極性を邪魔したよ。


今もしてる。

おばちゃんは免罪符なんだよ。

たぶん。

世界と人生に向き合わない自分に対する。


でも、ダメだよね。

頑張った。

前世?のセンカに失礼だよね。


私、レイを追っていけば良かったのかな?

…闇精霊の里にこもらずに。


うん、そうすれば、ここには居なかった。

レイとレーギュウス・ムーラアとの関係が

もっとはっきり早くしたから。


別れるにしろ。

しがみつくにしろ。


自分が臆病だったんだよね。


でも、シグさんに会えて良かった。


私は目をあけた。

シグさんのあたたかさを噛み締めながら…。

絡み付く銀の髪があの少年を思わせた。

うでも身体に絡んでる。

でも、まったく違う人だけど。

私はシグさんにしがみついた。


何であんな夢を見たのかは

何となくわかったよ。


今日、昼間会った

グーレラーシャ傭兵国の

ラズデアナ・カザフ外務担当官と

昼食会の時『戦闘文官の唐揚げ弁当』

を思い付いたのは

私の前世が日本人だからです。

と冗談めかして言ったのを聞いたからだ。


それで、前世と思われる夢を久しぶりに見たのか…。

前はしょっちゅう見てたのに…。


しあわせなのかな?私。


そうかもしれない。

ぐじぐじ悩む事無くなったし。


おばちゃん…、おばちゃんもやめよう。

えーと、千嘉じゃなくて

私、頑張るよ。

シグさんにの愛もっと答えられるようになる。

逃げないようにします。

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