余生闇精霊は外交中
今日は雨がしとしと降ってるね。
これも仕事なんだよね?
うまくできるかな?
「ちか様にお会いできて嬉しいですわ。」
モタマチムイ遺跡国の外交官夫人が言った。
「ありがとうございます。」
私は言った。
「シエアリースの絵画は幻想的で素敵ですね。」
グーレラーシャ傭兵国のカザフ外務担当官が言った。
女性のベテランの外務担当官でリエスディア女王陛下の信頼があついらしい。
グーレラーシャ傭兵国は先先代国王陛下のところにクレシア芸術国の国王陛下
…つまり、シグさんのお父さんの妹姫のクレシアの月と呼ばれる絶世の美女が嫁いでるんだそうだ。
リエスディア女王陛下はシグさんより年上の従兄の子どもなんだってさ。
なんせパーウェーナ世界、人は寿命が230歳から250歳あるので色々あるみたいです。
まあ、私も闇精霊の関係で寿命は長いんだよね。
今日は王立クレシア美術館に外交に駆り出されました。
今、話題の吹雪の王子の婚約者は興味の対象らしいです。
「幻想的といえば、ちか様のお髪も深い緑色でおきれいですわ。」
アキャア聖王国の軍王妃グローリエ様がおっとりと言った。
「ありがとうございます。」
私は言った。
嬉しいけど、そんな事ありません。
最近お手入れしてもらってるからかな?
うーん、王妃様とつうじるおっとりさだよ。
「ちか。」
シグさんが男性陣を連れてきた。
アキャア聖王国のケイル軍王陛下とモタマチムイ遺跡国外交官だ。
グーレラーシャの外務担当官は夫同伴じゃない。
デリュスケシの港町とか言うところで王宮分館管理官をしてるそうだ。
「おや、シグルト殿下は婚約者殿と離れたくなかったようだ。」
モタマチムイ遺跡国の頭の毛が寂しい
外交官が言った。
まあ、さっそく肩抱かれましたけど。
「若いとは良いな♪」
ケイル軍王陛下が微笑んだ。
「外が雨でも明るい気持ちになりますわね。」
グローリエ様がおっとり言った。
石造りの美術館は雨のせいか薄暗い。
そこに幻想画巨匠シエアリースの巨大な油絵がかかったりしてる。
なんで空に猫が飛んだり遺跡みたいな建物が
水中にあったりするんだろう。
クレシア芸術国は
芸術をする人が多い。
王妃様は彫刻だし。
国王陛下は油絵らしい。
シグさんはなんかしてるのだろう?
「ちか、巻き込んで、すまない。」
シグさんが耳元で囁いた。
「大丈夫だよ、いい人ばっかりだし。」
私はシグさんの手を握った。
「仲がよろしいですね。」
カザフ外務担当官が言った。
「私はちかを愛してますから。」
シグさんが微笑んだ。
いつのまにか雨が上がって窓から光が入ってきた。
シグさんの銀の髪が光を浴びてキラキラ輝いている。
「雨が上がりましたね。」
シグさんが微笑んだ。
私の婚約者はなんてきれいなんだろう。
おばちゃんにはもったいないけど。
シグさんの事大好きなんだ。




