吹雪の王子は解凍中4
ちかが腕なかにいる
それだけで幸せだ。
なのに今日はちかは母上のアトリエに
呼び出された。
「シグルトはいりませんの。」
ちかを抱き上げてアトリエに入ったとたん
言われた。
「シグさん、仕事頑張って下さい。」
ちかが言った。
なんで追い出そうとするんだ。
「わかりました。」
女性二人の眼力にまけてスゴスゴと
退散した。
「で、帰って来たんですか?」
デアーチィエ秘書官が言った。
「ああ、そうだ。」
私は言った。
「グーレラーシャ式執務室運営法で今日もサクサク進むと思ったのに。」
デアーチィエ秘書官が言った。
「そうそう、うまくいきませんよ。」
ファエウ内務官が言った。
ファエウ内務官もそう言うことがあるのだろうか?
既婚者だしな。
「ちか様はともかく、ルナ塔王夫人ですね、いい加減国に帰らないんですかね?」
デアーチィエ秘書官が言った。
ルナは師匠にわがままいって残っている。
師匠は転移陣を迎賓館に設置してカータシキ魔法塔国に通勤しているらしい。
甘いな、マルティウス師匠。
「色々、言ってるみたいだな、ちかが尻軽だとか、二股女だとか。」
私は顔をしかめた。
「ちか様の様子をみれば違うのがわかりますよね。」
ファエウ内務官が言った。
まあ、そうだな。
私はいつでもちかに触れていたいのに
ちかは恥ずかしそうだ。
「本気にされる方もいらっしゃいますし気を付けないといけませんね。」
デアーチィエ秘書官が言った。
「そうだな、いいように解釈する貴族の令嬢とかか?」
私は言った。
「…貴族の令嬢はすでに撃退済みじゃないですか、ゆきんこ王子。」
ファエウ内務官が言った。
「そうだったか?」
私は言った。
冷たい態度をとった覚えはあるが…。
「ええ、冷血王子と呼ばれていて、殿下は観賞用だそうです。」
デアーチィエ秘書官が言った。
なるほど、観賞用王子だったのか。
だから、議会も全会一致で可決なんだな。
ちかを逃すと結婚しそうにないし。
「むしろ、クレシアに忠誠を誓うお年寄り世代が信じるかも知れません。」
ファエウ内務官が言った。
年よりか…なにいいだすかわからないからな。
「まあ、いざとなったらカータシキ魔法塔国にルナ様は引き取ってもらいましょう。」
デアーチィエ秘書官が言った。
「そうだな。」
今すぐ帰ってもらいたいが
師匠がルナに甘いからな。
まあ、ちかを迎えにいくまで頑張って仕事するか…。
迎えにいくとちかは寝椅子で薄物をまとった姿でモデルをしていた。
透ける素肌が色っぽい。
「あら、もう迎えですの?」
母上がイーゼルから目を離さず言った。
ちかのデッサンがかかれている途中であった。
「し、シグさん。」
ちかが身体を隠そうとした。
「綺麗なのですわ。」
母上が言った。
「綺麗だ、ちか。」
このまま連れ去りたい。
「着替えてきます。」
ちかはそういって隣の部屋に逃げた。
もっと見たかったのに残念だ。
「ちかさんウブですの、シグルト、まだ手を出してないんですの?」
母上がズバリ言った。
「ちかが緊張しているようなので、今のところは押さえてます。」
いつまで持つかわからない。
その代わりスキンシップは取りまくっているが。
「誰かにとられる前に頑張れですの、孫楽しみですの。」
母上がニコニコ言った。
まあ、頑張ってみますよ。
「シグさん、お待たせしました。」
ちかが隣の部屋から出てきたので
抱き上げて口づけをした。
「熱々ですの。」
母上が言ってるのが聞こえる。
ああ、ちか、いつまでも私の腕の中にいてほしい。
貴女は私の至宝なのだから。




