塔王夫人は突撃中?
シグルト様と相川さんが結婚?
そんなの嫌よ。
反対よ大反対!
「ルナさんも喜んでくださいますの。」
どこか浮世離れしたクレシア芸術国の
王妃様が言った。
「シグルト様と相川さんはつりあわないと思います。」
私は言った。
私は松本ルナ、明正和次元で介護師をしていた。
今はカータシキ魔法塔国で
塔王マルティウス・ボレリアの
一応妻をしている。
塔王って言うのは、世襲制じゃ無くて
その時代一番の魔法使いがなるらしいわ。
だから私も塔王妃じゃ無くて塔王夫人なの。
王妃がいいわよ!
私はシグルト様がすきなのよ!
一年数ヶ月前に
やっぱり、夜勤明けにエレベーターで
カータシキ魔法塔国に召喚されたわ。
石造りの部屋の魔法陣に立ってたとき
自分が寝惚けてると思ったもの。
マリクはビックリしてたわ。
界渡りの召喚陣の研究じゃ無くて
転移陣の質向上のための実験で
しかも、呼んだのは人じゃなかったのに。
『責任とってちょうだい!』
騒ぐ私にマリクはなにいってるか
分からないと言う顔をしてた。
それで、シグルト様が呼ばれたのよ。
ちょうど、滞在していたらしいの
もう、一目惚れよ。
銀の髪の王子様!
って思ったら本当に王子様だったのよ。
師匠の事を詫びてくれて
クレシア芸術国に連れてきてくれたわ。
本物の王宮よ、テンション上がるわよ。
シグルト様はきっと私の事がすきなのよ!
でも、師匠に遠慮して言えないのよ!
……と思ったのに
地味で暗くて静かな相川さんが好きだなんて!
どこが良いのよ!
あのおばちゃんの取り柄なんて
おっきい胸だけじゃないの~!
あれだけはうらやましいわ。
「お茶会はどんな格好が似合うですの?やっぱり、ムリュフ精霊国の衣装かしら?」
クレシア芸術国の王妃様は言った。
「衣装まで用意するんですか?」
私は言った。
あの地味おばちゃんのどこが
気に入ったのよ。
「ええ、あの黒髪を引き立てたいですの、ギアムシュ竜連邦の衣装がいいかしら♪」
王妃様は言った。
何よ!本当にどこが良いのよ!
私は王宮に足を向けた。
うまくハーエレラも撒いて
回廊に入ろうとしたら
向こうからシグルト様に
お姫様抱っこされた相川さんが来た。
「シグさん、下ろしてください。」
相川さんが言った。
「嫌です。」
シグルト様がそういって相川さんに
き、キスしたのよ!
私は回廊の柱の影で思ったわ。
相川~、許せないわ~!
私の王子様をよくもとってくれたわね!
絶対に私の手にシグルト様を
取り戻すのよ!
「シグルト様にお姫様抱っこしてもらうのは私よ。」
私は呟いた。
「なにいってるんですの?塔王夫人様、帰りますわよ。」
ハーエレラ女官にその直後見つかって
私は連行されながら思ったわ。
絶対にシグルト様を私のものにしてみせる。
相川になんかに渡さない!
だって、私の方が美人で若いもの。
きっと相川の魔手から
シグルト様を救って見せるわ!




