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余生闇精霊は帰国する

クレシア芸術国に帰ってきたよ。

……帰ってきたって、私の故郷は日本国だよね?

なんか、なれてきた?


「ちか、無事でよかった。」

シグさんが言って私を抱き締めた。

「シグさんや、人前で不味いよ。」

私は言った。

「オレは無視かよ。」

カイトの若旦那がぼやいた。

「わー、ハチミツ王子様駄々アマですね。」

ワソランさんが言った。


わざわざ飛行挺の空港まで

出迎えたんですね。

ああ、なんか、写真撮られてるし。


し、しかも、別の誰かを取材にきたらしい、

取材の人までいるよ。

こっちにくる!


「シグルト王太子殿下、その女性は熱愛と噂の方ですか?」

記者がマイクを向けてきた。

……やばい、シグさんの将来に関わることだよ。

私みたいなおばちゃんと付き合ってるなんて思われたら大迷惑だよね。


「あの、ただの保護された異世界人です。」

私は言った。

シグさんの私を抱き締める腕に力が入った。


見上げると、シグさんが無表情だった。


「ちか、後でゆっくりと話しましょうか?」

シグさんがそう言って

空港のまんまんなかで私に口づけた。


「見ての通り、私は彼女を熱愛してる。」

シグさんが宣言した。


えーと、困るよ、それ。

私は地味なおばちゃんで

王太子殿下に熱愛されるような、

若くて綺麗なお嬢様じゃないんだよ。


「熱愛?マグマ愛じゃねぇか?」

カイトの若旦那が小声で突っ込んだ。

「マ、マグマ愛?面白い言葉考えつきましたね。」

ワソランさんはカイトの若旦那に囁いた。


マグマ愛ってなにさ、本当に。


「今、このかたは保護されてる異世界人と言っていましたが。」

気取り戻した記者が言った。

「ちかは確かに異世界人で私の保護下にある、国王陛下もご了承されている、なにか問題でも?」

シグさんが冷たく言った。


その瞬間も腕の中からだしてくれない。

ああ、逃げたい。


レイの…

ムーラア皇帝、レーギュウスの

忠臣のお嬢様に

私がレーギュウス様の婚約者だから

地味な貴女はいらないって言われた

時以上のダメージが来たら…。


次元門に身投げしちゃうかもしれない。


……あれ?もしかしたら。

私、シグさんのことが好きなの?

だから逃げようとしてるのかな?


いずれ、シグさんも

その身分にふさわしい女性が王太子妃様になるんだよね。


「ちかさんは殿下の事をどう思ってるんですか?」

突然記者がこちらに話をふった。

「え、今好きって自覚…。」

不味い思考をそのままいっちまった。


「ちか。」

シグさんが嬉しそうに抱き上げた。


わーん、ますます逃げられないよー。


と言うか私どうかしてる。

自分の思考もコントロールできないんかい。


「公式の発表いずれ出そう。」

シグさんが言った。


こ、公式発表?困るよ。

ひっそりと静かに余生を送りたいんです。

目立ちたくない。


「ちか、帰りましょう。」

シグさんはそのまま歩き出した。

「シグルト!ちゃんと、ちかを一度は仕事に出せよ。」

カイトの若旦那が言った。


い、一度は?仕事やめない予定ですが。


「ああ、そうする。」

シグさんは言った。


取材の人はシグさんがとりつく島がない

とわかると。

カイトの若旦那とワソランさんに

今度はマイクを向けた。


わー、すみません!

カイトの若旦那!


「シグさんや、下ろしておくれ。」

おばちゃんに赤ちゃんだっこきついんです。

「嫌です。」

シグさんは言った。


わーん、頼むよ。

みんなに見られてるよ。

やっぱり、シグさん吹雪の王子じゃないよ!

熱風王子だと私は思うよ。

いたいけなおばちゃんをほんろうしないでください。

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