余生闇精霊は出張中
キザス博士の背中にいるのは
噂のおんぶオバケちゃん?
よく、わかんない人だな?
「ああ、良いところに来た。」
キザス博士がおぶってる人を揺すりあげながら言った。
「キザスさん、いい加減下ろしてください。」
背中から女性の声がする。
「せつ、紹介するよ、エーシア商会のあいかわちかさんだ。」
キザス博士は言った。
「挨拶したいので下ろしください。」
女性は言った。
「もう少し待ってくれ。」
キザス博士が言った。
おぶいながらなんか作業してる。
あ、昨日の今日で試作品作ってるんだ!
あのレースみたいな花弁どうやって作ってるんだろう?
「よし、良いときに落ちてきたくれた、やはりせつが来ると、インスピレーションがわくね。」
キザス博士が言いながら女性を下ろした。
ソコソコの身長の黒髪に緑を溶かしこんだような銀の目女性は微笑んだ。
「こんにちは、栗落花節と言います、れっきとした異世界人ですよ、おんぶオバケじゃないです。」
節さんはいった。
異世界人って自己紹介する人はじめて見たよ。
「僕のインスピレーションの元だよ。」
キザス博士が言った。
そして薔薇の形の端末しかもレース仕様のを
私に差し出した。
すごい、完璧だ。
映像最新の端末より綺麗だよ。
「端末?こっちでも発売するんだ。」
節さんが言った。
「せつにもあげようか?」
オモチャを作った子供みたいにキザス博士が言った。
「いいよ、別にこのブレスレット型気に入ってるから。」
せつさんが緑の玉を連ねたブレスレット型端末を見せた。
「それは、端末だったのか!?」
キザス博士が真剣に見つめている。
「うん、落とさないから愛用してるんだ。」
節さんが言った。
そうか、アクセサリー系も女性に
受けるよね。
「見せてくれ。」
キザス博士が言った。
「壊さないでね。」
節さんはキザス博士にブレスレットをとって渡した。
キザス博士はそのまま研究に没頭したようなので
私たちは廊下に出てあった待ち合い室みたいなベンチに座った。
「ねぇ、シグルト君ってたまにエーシア商会まだ、来るの?」
節さんが言った。
シグさんの事知ってるんだ。
「シグさんの事知ってるんですか?」
私は聞いた。
エーシア商会は私の送り迎えで
週に三日は来てる。
考えてみれば、王子様に
送り迎えさせるなんて
おこがましいんだけど。
断ってもくるんだよね。
おばちゃんの事どんだけ
弱いとおもってんだろうね。
まあ、戦闘能力皆無だけどさ。
「うん、赤ちゃんの時から知ってるよ、シグさんって言ってるんだ。」
節さんが言った。
赤ちゃんの時から知ってる?
いったい…節さんって
力の強い人なのか、寿命長そうだね。
私より成熟度低そうだし。
「シグさんの赤ちゃん姿、想像つかない。」
私は言った。
「可愛かったよ、私より背が高くなった時はショックだったよ。」
節さんが言った。
そうか、ここにシグさんの本当に昔を知っている人が…。
「シグさんとはどういう関係なんですか?」
私は聞いた。
別に詮索したいわけじゃないんだけどさ。
おばちゃんだから好奇心がね。
「うーん、お姉ちゃんの旦那さんの従弟かな…。」
節さんが言った。
「大分歳が離れた従兄弟なんですか?」
私は聞いた。
「うん、そうシグルト君が生まれた時、お姉ちゃんには5人も子供がいたんだよ、今は6人だけど。」
節さんが言った。
多分節さんのお姉さんも節さんと同じで力が強いんだよね?
それなのに6人すごいよね。
「ね、吹雪の王子を春風王子にしたのって、千嘉さんだよね。」
節さんがニコニコした。
「シグさんはもともとやさしいんです、吹雪の王子の称号が間違ってるんですよ。」
私は言った。
「ええ?本当に女性に冷たいんだよ、私はお姉ちゃん感覚だから少し違ったけど。」
節さんが言った。
「…そうなんだ、そう言えば節さんなんでキザス博士の背中にいたんですか?」
私は聞いた。
「私が召喚体質の一族だからだよ、パーウェーナ世界と相性が良すぎて、キザスさんをはじめ何箇所か定期的に自然に異世界トリップするんで、ついにヌーツ帝国に環境調整師として就職しちゃいました、帰るの楽だもん。」
節さんは言った。
なんて、気の毒なんだろう。
でも、明るくていいな。
ヌーツ帝国ってヌツオヨ大陸唯一の帝国だよね。
まあ、おぼろげな記憶だけどね。
「がんばってください。」
私はそういうしかなかった。
「ありがとう、シグルト君に意中の女性が現れてよかったよ。」
節さんは言った。
節さんや、それは大変な誤解だよ。
まだ、若いシグルトさんが私みたいな
おばちゃんを好きになるわけ…。
あははは…添い寝されてるけど…。
抱き込まれて…キスとか…。
私をいたわってるだけだよ…。
キスは挨拶キスなんだよね?
何回もするけど?
自分をごまかしてる?




