余生闇精霊は仕事中6
エーシア商会で端末をもとにして
新しい通信機を企画するんだってさ。
カイトの若旦那スゴイよね。
「ちか、トスモル技術国まで、出張行ってくれないか?」
カイトの若旦那に言われた。
「はい。」
私は言った。
言ってからシグさんどうしようって思った。
「カイト坊っちゃん、シグルト殿下が反対されますよ。」
ハーシェル室長が言った。
「カイト坊っちゃんは、やめてくれよ……シグルトにはオレから言っておくよ。」
カイトの若旦那がニヤリとした。
どうに説得するんだろう。
あの超過保護のシグさんを。
「ワソランも同行してもらう手はずになっているんだ。」
カイトの若旦那が楽しそうに言った。
トスモル技術国は
通信機や飛行挺など
主に機械式の発明品が
名産なんだそうだ。
帰り迎えにいつも通り来たシグさんに
カイトの若旦那が出張を頼んでくれた。
「カイト、どうしても、ちかが必要か?」
シグさんが言った。
スゴく嫌そうですが。
「ああ、それにルナがきてんだろう?あいつがちかの事色々言ってたぜ、地味女のくせにシグルト様を惑わしたとかな。」
カイトの若旦那が言った。
シグさんを惑わした?
…いや、違うよ、ルナさん。
むしろ、シグさんに戸惑わされてるよ。
この人、本当に…。
違うよ、おばちゃんだから労ってるだけだよ。
うん、レイみたいな事があったらいやだもん。
「ルナは…塔王夫人としての自覚にかける、師匠はルナのどこがいいんだ?」
シグさんが言った。
「そりゃ、あの基本明るくて美人で自分に自信があるところだろう。」
カイトの若旦那が言った。
なるほど、言い方によって印象が違う。
「カイト、私は…。」
シグさんがいいかけた。
「ちかの事は任せておけ、フェデルーダの護衛のジーンデアスがしっかり守るから。」
カイトの若旦那が言った。
珍しく、シグさんが押されてる。
「ちかが居ないとゆっくり寝られない。」
シグさんが言った。
「そう言う仲なのかよ。」
カイトの若旦那が言った。
「…まだ、添い寝だけだ。」
寂しそうにシグさんが言った。
うん、抱き込んで添い寝だよね。
ああ、おばちゃんにはダメージだよ。
「……おい、お前…ま、しばらく離れてみたらどうだ、せいぜい一週間だぞ。」
カイトの若旦那が言った。
「ちかが不足する。」
シグさんが言った。
私が不足するってなにさ。
「お前なぁ…ちかがいないときどうしてたんだよ、まあ、ともかく、行かせるからな。」
カイトの若旦那が言った。
「……ちか、トスモル技術国にいくなら、私が忙しくないときにつれていきます、諦めてください。」
シグさんが言った。
「シグさん、仕事だからね、いかせてください。」
私は頭を下げた。
「……………どうしてもいきたいみたいですね…………。」
シグさんがうでくみしだ。
「はい、お願いします。」
私は頭を下げた。
「カイト、しっかりまもれよ、ちか、無理しないでください、それが条件です。」
シグさんが私を抱き寄せて言った。
宝物をとられないように抱え込むみたいに…。
まあ、抱えてるのはおばちゃんだから
私の体力不足を気にしてるだけだよね。
「任せておけ!」
カイトの若旦那が言った。
「無理しないよ、シグさん。」
私は言った。
うん、頑張り過ぎないように頑張ろう。
シグさんが妥協してくれたんだから、
トスモル技術国でしっかりお仕事してきますよ。




