余生闇精霊は仕事中5
シグさん、イライラしてるな。
なんか、いいストレス解消法ないかな?
端末でストレス解消法の検索をしてみた。
「ハーブティーにチョコレート…うーん、あとは…なにかな?」
私は呟いた。
明正和次元から取り寄せようかな?
「それより、ちかさんがシグルト殿下に抱きつくほうがストレス解消になりますよ。」
デアーチィエ秘書官が言った。
「……邪魔ですから。」
私は言った。
大型通信機の前で真剣に仕事をしている
シグさんの邪魔はしたくない。
「邪魔じゃないよ、積極的にむしろしてください。」
ファエウ内務官がシグさんのいる方の部屋から出てきた。
「不味い状態ですか?」
デアーチィエ秘書官が言った。
「うん、イライラしてる、ちかさんを投入した方がいいかも。」
ファエウ内務官が言った。
ルナさんの行動が逐一入ってくるからね。
「ちかさん、これも仕事だよ、シグルト殿下のところいってください。」
ファエウ内務官が言った。
「グーレラーシャ式執務室運営法だと…膝の上座って一緒に仕事ですかね。」
デアーチィエ秘書官が言った。
このおっさん青年…なに考えてるのさ。
「グーレラーシャ式執務室運営法…前から聞こうと思ってたんですが、何なんですか?」
私は案外低い声で言った。
「ああ、グーレラーシャ傭兵国の先代ウェティウス国王陛下は元々、執務が苦手で滞り気味だったのですが。」
デアーチィエ秘書官が言った。
シグさんと大違いだな、
国王陛下が執務苦手ってなにさ。
「異世界の賢い黒ウサギと言う、後の王妃様とのスキンシップを執務室で取り入れたら効率がものすごく上がったとのことで、グーレラーシャ傭兵国の現女王リエスディア陛下も、伴侶をつねにそばにおいてるそうです。」
デアーチィエ秘書が続けて言った。
なにそれ?
おばちゃんは理解できません。
「あそこは恋人及び伴侶抱き上げまくるお国柄だから、余計なんですよ。」
ファエウ内務官が言った。
抱き上げまくるってなに?
おばちゃん理解できないよ。
「まあ、お茶休憩うながしてきます。」
私は混乱しながら言った。
「お願いします。」
デアーチィエ秘書官がニコニコした。
「たのみます。」
ファエウ内務官が言った。
まったく、何を期待してる?
おばちゃんにさ。
「シグさん、少し休めそうですか?」
私は聞いた。
「ちか。」
シグさんが大型通信機から顔をあげた。
「お茶をどうぞ。」
私はお茶を机に置いた。
なんか、抱きつかれたよ。
いつもの事っていやー、
いつもの事なんだけどさ。
「疲れてるみたいですね。」
私はシグさんの背中を撫でながら言った。
「ルナが色々と問題をおこして…。」
シグさんが顔を私の胸に押し付けた。
頭もよしよしと撫でといた。
この銀髪王子も子供みたいな事が有るんだね。
「……柔らかい…。」
シグさんが呟いた。
何が?
も、もしかして腹?
腹がやわやわのぷくぷく?
き、鍛えてないけどさ。
筋トレ?ウォーキング?
おばちゃん、真っ青だよ。
「ちか?どうしたんですか?」
シグさんが顔をあげた。
「ごめんなさい、柔らかくて。」
腹がプニプニっていわれるの
ダメージだよ。
「…気持ち良かったですよ。」
シグさんが微笑んだ。
「すみません!腹筋無いんです。」
私は言った。
沈黙が一瞬あって
シグさんが笑った。
「すいません、笑って…柔らかいのはちかの胸です。」
シグさんが言った。
「……そうですか。」
顔うずめてたもんね思いっきり。
「騒がないのですか?」
シグさんが私を膝の上にのせながら言った。
「別に騒ぎませんよ。」
騒いでどうなるもんじゃないし。
この白雪王子も疲れてるだろうしね。
「ルナなら大騒ぎで責任とれとか言いそうです。」
シグさんがため息をついた。
「ルナさん、問題おこしてるんですか?」
私は聞いた。
「ええ、私に会わせろとハーエレラ女官にいったり、こちらに忍びこみそうになったり、警備官が出動したんですよ、行動力有りすぎです。」
シグさんはため息をついた。
「まあ、お菓子でも食べて。」
私はエーシア商会で仕入れた
花形のオレンジピールいりクッキー
を差し出した。
あのー、なんでそのまま食べるかな?
ついでに私の指なめないでほしい。
「美味しいです、ちかといると癒されます。」
シグさんは微笑んだ。
「それはよかった。」
うーん、この状況不味いよね。
って言うか、
膝上抱っこナチュラルにされる状況も
不味いな。
「しばらくこのままでいたい。」
シグさんが私を抱き込んだ。
癒されるのはいいんだけどさ。
おばちゃんの心臓に悪いから。
なるべくしないでほしいな。
ハーブティーとかチョコレートとか
ストレス解消グッツ購入してみるからさ。




