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余生闇精霊は思い悩む。

絶対に勘違いだよ。

若いシグさんが私を好きだなんて。


「……ちか、連絡が来ました、喜んで受け入れます。」

満面の笑みを浮かべたシグさんに

帰ったとたん抱き締められた。

「あのー、エーシア商会の寮に引っ越したいのですが…。」

私はテンション低く言った。


冗談じゃないよ、シグさんと恋愛関係になんてなって、レイの時みたいに

しばらく時間おこうみたいなこといわれたら。

私、暗い森の中に逃げ込むよ。

二度と出てこないからね。


「ちか、なにいってるんですか、あの父上が私の部屋にちかを引っ越させるように命じられたのですよ。」

シグさんが言った。

「おばちゃんは介護しなくても大丈夫だよ。」

私は言った。


もう、いっそ介護と言うことで誤魔化したいよ。


「ようやくグーレラーシャ式執務室運営法の本領発揮ですよ。」

デアーチィエ秘書官微笑んだ。


その。グーレラーシャ式執務室運営法って

前から思ってたんだけどなにさ?


「シグルト殿下、よかったですね、ゆきんこ王子してる場合じゃないですよ。」

ファエウ内務官が言った。


「ああ、春風王子に改名してください。」

私はシグさんの腕の中でモゾモゾ

しながら言った。

「おや、可愛い呼び名ですね、春風王子様。」

ファエウ内務官が言った。

「そうだな、ちか、ちかはまだ若いですよ、介護なんてしてません。」

シグさんがますます抱き締めた。


く、苦しい、はなしてくださーい。


「シグルト殿下、ちかさん落ちました。」

ファエウ内務官の声が遠くで

聞こえて…意識がとぎれた。



「ちか様!お目覚めでございますか!」

マリオンさんが言った。


あれ?私仕事に出てたよね?

もしかして夢落ち?

国王陛下にあったのも、

シグさんの部屋に引っ越しなんて…。


ハハハハ…。

なんかベッドがいつもより広い気がする?


「マリオン、ちか様は起きられたのですか?」

マリオンさんの向こうから年配の

でも、きりっとした女性が顔をだした。

「はい、女官長。」

マリオンさんが言った。

女官長さんなんだ。

「…夢落ちじゃない?」

私は呟いた。


意識がはっきりしてくると

いつも寝てるベッドとちがうのがわかった。


「シグルト殿下も困った方です、女性はデリケートなのですからね。」

女官長が言った。

「ちか様、お加減はいかがでございますか?」

マリオンさんが心配そうに言った。

「大丈夫ですよ、仕事に戻ります。」

ええ、現実逃避しますよ。


「戻らなくて良いとのことです、お茶はいかがですか?」

女官長が言った。

「いただきます。」

私は言った。

取り合えず起きて現実を確認しよう。


芸術的でスッキリした大きなベッドから

起きると芸術的スッキリしたでも

王太子の部屋にふさわしいと思われる

部屋が広がっていた。


「ちか様のお荷物はもう、概ね移動しております。」

女官長が言った。


はいはい、大事なものは

いつも身に付けてる

差し入れ小袋に入れてるから

大丈夫なんだけどね…。


「ちか!よかった!」

お茶を飲んでると

シグさんがかけてきて

抱きついた。


いつもより優しく。


「シグさん、迷惑かけて悪いね、おばちゃんは体力無くてね。」

私は言った。

おばちゃんを強調しておこう。

「私こそ、よろこびのあまり、力を入れすぎました……でも、抱き締めたい。」

シグさんが言った。


どうせ抱き締めるんなら

可愛いワンコとか

小さい子……。

ちがう、シグさんに似合う

若い美人な松本さんみたいな女性

が腕の中にいると似合うと思うよ。


「シグルト殿下、お茶はいかがなさいますか?」

女官長が言った。

「もらおう。」

シグさんは言っていつも通り

私を膝の上にのせた。


いつも通りってなんだよ、私。


「ちか、いい匂いがします。」

シグさんが言った。

「お茶菓子の匂いですよ。」

私は落ち着こうとお茶菓子に手を

伸ばした。


……なんでキスする。


「ちかの唇は甘いですね。」

シグさんは微笑んだ。


お茶菓子を片手にキス?

なんて絵にならないんだ。

甘いのはお茶菓子の甘さですよ。


ああ、どうにかこの

温泉王子をなんとか

正気に戻さないと…。

私みたいなおばちゃんは

シグさんにふさわしくないよー。

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