余生闇精霊は仕事中4
シグさんのところの仕事もなれてきたよ。
書類運びデビューだけど
変なところ入り込まないといいな。
「……ここ、どこさ。」
クレシアの王宮は芸術的過ぎて
方向感覚狂うんだよね。
変なところ入って
投獄とか嫌だな…。
「おや、迷子みたいですね、黒髪のお嬢さん。」
前からきた、綺麗なおじさんが言った。
シグさんとかグランパシャルル陛下に似てる。
…関係者だな、絶対に。
「すみません、入り込んだら行けないところですか?」
判断がつかないよ。
「うーん、この先は行き過ぎると国王の執務室だから、近衛がいるし不味いよ。」
おじさんが言った。
つまり、多分……。
「国王陛下。」
私は習ったばかりのクレシアの礼をした。
「…なんで、そう思うのかな?」
おじさんはニコニコ言った。
「シグルト様と先王陛下とよくにてらっしゃいます、成熟度的にシグルト様のご兄弟ではありませんし、国王陛下には妹君のみと聞いておりますので。」
うん、うそはいってない。
情報収集してないけど、
このくらいはわかる。
「…なるほど、君は頭がいい。」
国王陛下?は微笑んだ。
「ありがとうございます。」
私は言った。
「君は、シグルトの妃になりたいかい?」
国王陛下が聞いた。
シグさんの妃?
レイの妃にすらなれないのに…。
シグさんは、福祉の心で優しくしてくれるだけですよ。
「別にならなくていいです。」
私は言った。
「……本気みたいだね。」
国王陛下が言った。
「私がおばちゃんだから優しくしてくれるだけですよ。」
私は言った。
「……違うと思うけどね、まあ、いいや。」
国王陛下が言った。
違うのかな?
じゃ、早期に自活しないと。
シグさんは勘違いしてるだけだし。
「カイトの若旦那に寮にいれてもらって。」
私は国王陛下を忘れて呟いた。
「シグルトがあわれになってきた、君、シグルトの部屋に引っ越しね。」
国王陛下が言った。
は?今なんとおっしゃいました?
「邪魔ならなるべく早く空けますよ。」
私は言った。
「だから、シグルトの部屋に引っ越し、それ以外認めないから。」
ニコニコと国王陛下が言った。
ええ?迷惑だよね。
「すぐ、するように。」
国王陛下が通信機で命じた。
「あのー、エーシア商会の寮に入りますので大丈夫です。」
私は通信機を握りしめて言った。
すぐ、カイトの若旦那に連絡とらなくちゃ。
「いいよ、君がシグルトをどうにも思ってないのはわかった。」
国王陛下が言った。
「感謝してますが。」
私は言った。
「シグルトは君のことがすきなんだよ。」
国王陛下が言った。
好きって友達みたいに好き…じゃないよね。
言動みるとさ。
「私みたいな、おばさんはシグルト王太子殿下にふさわしくありません。」
私は言った。
それにレイのことがあるから恋愛できないよ。
「あのさ、遠慮深いのは時には残酷だよ。」
国王陛下が真剣な目をしていった。
「私は…。」
どうしたいんだろう?
まだ、レイを諦めきらない?
わからないな。
「君はおばさんじゃない、頭がいい、だから…もう、いいや、シグルトの応援するから覚悟するように。」
国王陛下が人の悪い笑みを浮かべた。
「ええ、こまりますよ。」
私は言った。
本当に困るよ。
「じゃ、シグルトの部屋にかえってね、ああ、外務大臣室はピンクの床の線たどっていけばたどり着くよ。」
国王陛下はそう言うと去っていった。
ピンクの床の線ね…。
ああ、なんか現実逃避してるよ。
どうしよう、シグさんが
私を恋愛対象にみてるなんて
うそ…じゃない気がしてきた!
言動みると!
わーん、困ったよ。




