残念皇帝は会議中
なぜ、千嘉がダメなんだ。
私は千嘉しか愛せないのに。
「相川千嘉嬢はレーギュウス陛下の皇后様には不適切と言わざるおえません。」
たんたん狸が言った。
「オーレリア・アリウス嬢を推薦いたします。」
狸の腰ぎんちゃくが言った。
私はお前の娘を皇后にするつもりは全くないぞ。
「私は相川千嘉嬢以外、皇后には望まない。」
何年も前から言っていたことだ。
「相川千嘉嬢は、現在パーウェーナ世界に滞在中でいつご帰還か不明です。」
他の議員が言った。
「クレシア芸術国とやらの、王子殿下の囲いものになっているそうではありませんか。」
たんたん狸が言った。
「いいえ、保護されているだけです。」
その議員は言った。
冷静だな。
「相川千嘉嬢はもう、お歳です、そのてんオーレリア嬢はまだわかいです。」
腰ぎんちゃくが言った。
確かに、オーレリア・アリウスは若い。
だが、千嘉は
私と成熟度が一緒だからな。
まだ、若いぞ。
千嘉とは高校時代にあった。
出会った瞬間に思った。
この人は私の運命の相手だと。
当時、私はムーラアの皇太子で
婚約してなかったが
自称忠臣どもの娘が皇后候補として
沢山いた。
声を掛ければなんとやらだ。
入れ食い状態だったし。
なのに、千嘉とは
清く正しい高校生の恋愛だったんだ。
千嘉は今もかなり穏やかだそうだが。
当時もそんなに押し付けがましい女じゃなかった。
もっと美人は他にいた。
なのに、千嘉にあって以来
私の心は千嘉しかいない。
なんでこんなに惹かれるのか
わからない、
でも本能は言う。
千嘉は私の半身だと。
千嘉をセンカと呼ぶのも
自然と出てきた。
千嘉にしかレイとは呼ばせていない。
卒業時『しばらく会わないことにしよう。』
といったのは父上が皇帝退位でさわがしく
千嘉に悪意が向けられても守れなかったからだ。
もう、落ち着いたのだから良いだろう。
千嘉を皇后に迎えて。
幸せに暮らしても。
なのに、異世界に滞在中…。
まだ、帰れないなんて…。
「相川千嘉嬢はお側室にしていただいて、オーレリア・アリウス嬢を皇后でよろしいのではありませんか?」
腰ぎんちゃくが言った。
千嘉を側室?
ムーラア帝国で、側室なんぞいたのは
何千年前だと思ってる?
……制度的には残ってるのか?
後宮はもうないが……。
千嘉が手に入るのなら
それでも…いや、ダメだ。
こいつらが対策をこうじないわけない。
それに千嘉は
今度こそ日向に出してやりたい。
今度こそってなんだ?
心の底から出たぞ。
「皇帝陛下?」
他の議員が言った。
ボーッとしてたらしい。
「私は相川千嘉を正妻に皇后に望む、側室などありえない、オーレリア・アリウス嬢が側室になると言うならかまわないが。」
私は言った。
千嘉しか愛さないだろうが。
「なんと言うことを、オーレリア・アリウス嬢は我が国最高のレディですよ。」
腰ぎんちゃくが言った。
そうだったか?
たんたん狸の娘と言う認識しかないぞ。
「人の好みはそれぞれだろう。」
私は言った。
「皇后は有益な人材の方がよいと存じます。」
他の議員が言った。
有益?私が好きな女と
結婚したくらいで揺らぐムーラア帝国では
あるまいに。
ああ、千嘉に会いたい。
今日もメールしよう。
会議があったと。
異世界の王子殿下、千嘉
のそばにいるなんて羨ましすぎるだろう。




