少年少女の出会い
地名とか人名ってみなさんどうやって考えてるんでしょうね?
無い知識を振り絞ってる私はありきたりの名前とか聞いた事あるような名前しか思い浮かびませんでした泣
「うむ、やっぱりブラッディベアーの肉は素焼きが一番だな」
そう言いながら少年は焚き火をしつつ、こんがりと焼けた獣の肉をほうばっていた。
周りには獣達の死骸が転がっていた。それらはバラバラになったもの、木に貼り付けにされたもの、首を折られたものから、焼けた様な跡のあるものまであった。
それら漂う血や肉の匂いに誘われた獣達は多くいたが、奇妙な死骸から発せられる謎の雰囲気により手が出せないでいた。
いったいこの少年は何をしたと言うのだろうか…
「身体に悪いところはなさそうだな。魔力量も問題無し。あえてあげるとすれば、この身体の大きさにまだ慣れていないと言うことくらいか」
肉を食べ終わった少年は、腕の調子を確かめるように回しながらそう言った。
「とりあえず今の世界事情とか流通貨幣とか調べなきゃならんな」
そう言いながら火を消しつつ立ち上がり、
「まぁまずは人里に行ってみるか。ブラッディベアーやデスファングが生息しているから、ここがローヴァーの魔森かネルムの深森かディブロス山の死の森のどれかだとは思うんだが…」
右も左も木しかないので、さて、どの方向へ進もうかと少年が悩んでいると…
「くそ!サリア!逃げるんだ!こいつらは私が惹きつけておく!」
「嫌だよ!お姉ちゃんを置いて逃げられないよ!」
少年の前に二人の少女達とヘルタイガーと呼ばれる虎のような獣が5,6匹現れた。
どうやらこの森の獣達に襲われているようである。
と、少女の1人と少年の目があった。
「!?お姉ちゃん!男の子がいるよ!」
「なっ!?こんな森になんで子供が1人でいるんだ!?街から逃げてきたのか!?」
子供って…君達もだろ…と言う前に、ヘルタイガーに囲まれてしまった。
「くそっ!二人を護りながら逃げるのはキツイ!サリアはその少年と一緒に逃げるんだ!」
「お姉ちゃんはどうするの!?」
「こいつらを足止めしておく!大丈夫、私がやられるわけないだろ?」
なかなかに勇敢な心を持っているらしい。が、明らかに無理しているのが分かる。その証拠に足の震えが止まらないようである。
それにヘルタイガー達も気付いているのであろうか、じわじわと距離を詰めて来ている。
「早く行くんだ!」
お姉ちゃんと呼ばれた少女がこちらを一瞥し叫んだ瞬間、一匹のヘルタイガーが少女に飛びかかってきた。
「お姉ちゃん!?うしろ!」
「!?しまっ!」
自分の喉元にヘルタイガーの牙が突き刺さる、そう覚悟し少女が目を閉じた瞬間、
「…アイスブラスト」
パリィィーン!!!
ガラスを割ったような一際大きい音が響き渡った。
少女は覚悟していた痛みがなかなかやってこないので、恐る恐る目を開けてみると…
一級品の彫刻と間違えそうなほど美しい…ヘルタイガーの氷の彫刻が少女の目の前に出来上がっていた。
「きれい…」
あまりの美しさに危機感も忘れて彫刻に触れようとした瞬間、
バリン!!!!
氷の彫刻がいきなり弾け飛んだ。
「きゃ!?」
目の前で彫刻が弾けたことに驚いて目をつぶったのだろうが、氷の破片が少女に降ってくることはなかった。
それどころか、
「きゃん!?」
氷の破片は残りのヘルタイガー達に飛んで行った。
ヘルタイガー達は仲間が一瞬でやられた事で、本能的に危険と察知したのだろうか、直ぐに逃げて行った。
少女はその驚きながらも後ろを向くと、サリアを背に少年が右手のひらをこちらに向けながら立っていた。
そして、軽く微笑みながらをこう言った。
「大丈夫かい?お嬢さん達」