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三男 カストル・パンクヒルズ

 >インタビューにお答えくださって感謝します。前回に引き続きかの名門パンクヒルズ家から、三男、カストル・パンクヒルズさんにお越しいただきました。前回からお兄様であります、ルードヴィヒさん、アイザックさんがお話くださいましたが、カストルさんからはどのようなお話が飛び出すのでしょうか。ではご長男のルードヴィヒさんからについて一言お願いします。


 やぁ、こんにちは。う~ん、愛らしいインタビュアーの方だね? ん? 僕の作品じゃなく、家族について聞きたいのかい? それもルー兄貴から?

 ……そうだねぇ……化け物だね! え? 何でかって。だって普通に考えてみなよ? あの中央軍だぜ? しかも最高部隊だぜ? それに加えて幹部でしょ? しかもなったの18歳でしょ? ありえないって。常識で考えてみなよー、なれるってことはさ、化け物だったってこと。そ・れ・だ・け。ルー兄貴よりさ、僕のことについて訊いてよー。う? もうちょっと? しょうがないなぁ。

 そうだな、最初はあこがれてたな。かっこいいし、自慢できるしね。だけど気づいたんだ。ああ僕はルー兄貴ほどの才能がないなって。それにかっこ悪いじゃない。兄貴の武勲を平凡な弟が自慢するのって。だから、俺は違う道に行こうって考えたわけ。

 そういう意味じゃあ……この道に歩ませてくれたルー兄貴には感謝すべきなのかな?


 >次に次男のアイザックさんについてどうぞ。


 ザック兄貴? あー、あの人苦手だよ。なんか俺がこの芸術の道に進んだこと、一人だけ反対っぽいんだよねー。別に親父もお袋も許してくれたんだけどなー。しかもさ、俺、音楽や絵画、彫刻、全てにおいて完璧なんだぜ? ちょっとは認めて欲しいとこよ? あ、そういうんじゃないの。もう俺のことは諦めてほしいわけ。テッドにでもついてりゃいいんだよ。

 ってか、俺、自分が芸術の道にいったのも、ザックの兄貴見てたせいもあんのよ。あの打倒! 兄貴! みたいな、あの熱血な感じがさー、時に滑稽に、ときにむなしくなんの。見ててさ。だから、ザック兄貴みたいになるのだけは、カンベンだったのよ。

 ま、俺が見てもザック兄貴は永遠にルー兄貴には勝てないと思うよ? だってルー兄貴みたいに周りどうでもいいじゃないもん。ルー兄貴みたいに強さだけじゃないから。ザック兄貴。なんだかんだいってお人よしでさ、周りに気を使いすぎなんだよ。その気の回しようをもっと自分を磨くのに使えば少しは強くなるかもね。ま、それができないからこそ、いい人なんだけど。


 >では、ご自身については?


 やっと、俺のこと?

 うん、俺、最高にすげーとは思うよ。だって芸術ってさ、副産物が多いっしょ? 例えばさ、俺がいい曲を作るとすんじゃん。そしたらさ、それを弾く人がいて、聴く人がいて、幸せになってくれたら最高じゃん。確かに戦争なんか起こったら、守るためには軍人は重要。だけど、軍人は戦争ですさんだ心を癒せないぜ。俺はそれを選んだの。えらい?

 ってのは建前かもしんなくって、本当はルー兄貴に武術も勉強の道も制覇されたから、別の残った道選んだだけかもね。

 別にさ、名門家に生まれたからって全員が同じことしなくてもいいじゃん。金持ちならその金を違うことに使ってもぜんぜん問題ないと思うの。だから、俺は自分の好きなことして、みんなにちょっとでも笑ってもらえたら幸せ。で、勝手にかわいい女の子見つけて、別の家住むよ。あんな汗臭くて、剣振り回すのなんか、ナンセンスなんだよ。

 って、考えてんの。


 >では、四男についてはいかがですか?


 テッド? あー、テッドね。ぶっちゃけていいなら、気持ち悪い(笑)

 ルー兄貴の尊敬ぶりは異常。あれ、ルー兄貴に恋してんじゃないのって位。テッドは俺のせいであーゆーやつになっちゃったのかもって思うと、ちょっとごめんって感じ。

 や、俺ね、最初芸術の道に進むこと親父に反対されててさ、無理やり家出したわけ。だから、テッドは俺を見てて、親父を心配させないように、親父の望むルー兄貴のようになろうとでも考えたのかもね。

 なんでそう考えたのかってと、時々、部屋のルー兄貴の写真、睨んでるときあんの。殺気立って。ってことはよ、本人に確認したことないけど、ルー兄貴を敬愛してんじゃなくて、逆なんじゃないかって思うことあんのさ。ザック兄貴以上に打倒! ルー兄貴なのかってさ。

 ま、テッドの考えてることわかんない。あいつ、一番うちじゃ仮面かぶってるよ。イオンといい勝負だね。本心を隠してるかんじひしひしすんだよ。ま、俺ら弟は家督とか心配しなくていいんだから、もっと気楽に生きればいいと思うけどね。


 >では、最後に末弟については?


 イオンね。あいつ、かわいいよ? 末っ子だからね、本と甘やかしたくなんだよ。しかも本人、素直だしねー。楽器弾いてやれば喜ぶし、絵を見せればくれとか言うしね。

 しかも自由奔放だし。そういえば、俺一時期芸術についてイオンに教えたことあったな。あいつもあいつなりに、自分の将来考えてんだろうな。親父も末っ子だから珍しく道を用意してさ。それ蹴ってたけど。ま、わかる。教会の中で生活なんてやってらんねーよ。

 みんな不思議がってたけど、イオンが第七王子のトコいけた理由、俺知ってるし。イオンは異教にはまってたんだよ。ま、俺が異国の作品に夢中になってた時期があってさ、そのときに通ってたじじいのトコもついてきてさ、俺より馴染んでたからな。たぶん、あそこで、盗人のスキルを完璧に習ったんだよ。盗神ってのがある宗教だったからな。あいつ、それで完璧な盗人の技術を習って忍び込んだんだろうさ。王宮は警護厳しいぜ? でもイオンならできなくもないかなって。しかも護衛を一人もつけない孤高の第七王子に目をつけるあたりが超イオンらしい。

 あいつはさ、甘えて表面上普通なのに、本当の顔ってのは、一番自分がいいように暮らせる道を誰よりも貪欲に探してんのさ。そういうやつ。

 ま、かわいい末っ子であることにはかわりないし、楽しく暮らしてんならいいんだ、俺は。



 >次回のインタビューは、四男、テオドア・パンクヒルズさんです。



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