第5話:初票
「全科目総合では2位だった・・・」
佐古田さんのその答えを聞いて神村はにやにやする。
まるで、今度は追いつめられるのはお前だぞと言わんばかりの顔だ。
あの様子を見ると神村は犯人じゃない気がする。
さっきまでは、一番疑いを抱いていたのに、自分でも不思議になる。
「次の質問者は秋月君です。質問の方をお願いします」
その言葉に俺は必死に考えを巡らせる。
しかし、「2」という数字から良い考えが浮かばない。
「m」の時とは大違いで、何も思いつか・・・。
そこまで、考えた瞬間に俺は勘違いしている自分に気付いた。
何もヒントを1つ1つ考える必要はないじゃないか。
「m」と「2」を組み合わせて考えるのが当たり前のはずなのに。
「秋月君、急いでください。沈黙が続くようならこのゲーム失格になりますよ」
とりあえず、考える時間がないから、今回は適当に聞く事にする。
「林田さん、君の順位も教えてくれ。各教科ごとにでお願いするよ」
「私のも・・・。えっと、国語が13位、科学が73位で・・・」
結局、林田さんの順位の中に2位はなかった。
しかし、そんな事は期待してなかったからどうでも良かった。
この後の質問は皆似たようなものだった。
誰かにテストの学年順位を聞くものばかりで、あまり収穫があったとはいえない。
橋田さんは三村に、三村は俺に対して、佐古田さんは神村に対してだった。
そして、ここで2ターン目の投票タイムへとうつる。
1ターン目は誰も投票しなかった。
しかし、ここら辺であてて大きいポイントを稼いでおきたい気もする。
ヒントがもう1つある事を考えるなら、少しリスクも高いけど。
そんな事を考えてる内に、一人が動き出す。
神村だった。あいつの事だから、佐古田さんにでも投票するのだろう。
犯人のカモフラージュ行動ではなさそうだ。
おそらく、神村にそんな余裕はないはずだから。
「投票者は神村君だけですね。では、最後のターンへとうつります。質疑応答の順番決めをお願いします」
全員がくじを引き最後のターンの順番が決まる。
1、佐古田 悠里
2、橋田 麻耶
3、神村 仁史
4、林田 美乃里
5、三村 広大
6、秋月 晴登
これで、最後のターンの順番が決まった。
このターンの最後には必ず誰かに投票しなければいけない。
当てても1ポイントだが、これはとても重要なものになるはずだ。
おそらく、さっきのターンで投票していた神村は間違っているだろう。
そうなると既に犯人の1ポイントは約束されている。
俺が間違ってしまえば、俺のポイント0かつ犯人は2ポイントが約束される。
つまり間違う事により、最低でも2ポイントは差がついてしまう。
正解しても、2ポイント以上差がつく可能性もあるが、大分可能性としては低くなるはずだ。
そして、最初のゲームの最後のヒントがテレビに映し出された。
読んでくださってる方、ありがとうございます。
犯人探し1ゲーム目も、佳境に入りました。
あと2、3話ほどですかね。
これからも、よろしくお願いします。