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大阪チャリ大破事件

作者: まめのき

大阪時代の実体験。筆が遅いので新作の代わりに置いておきます。

これは私が大阪の柴島というところに住んでいた頃の話である。

職場が遠く京橋まで行くことになったので、最初は電車通勤をしていた。

この電車通勤というのが私に合っていなかったらしく、早々に

ストレスの限界値に至ってしまった。

毎日のように満員電車で通勤している会社員の方々には脱帽である。

そこで私が考えたのが自転車による通勤だった。

今乗っているボロボロのママチャリでは京橋までとなると苦行でしかない

ここは思い切って前々から憧れていたクロスバイクを購入しそれで通勤しよう。

その日々を想像しわくわくが止まらなかった。

購入から納車までは一か月程掛かった。それまでの間はママチャリでの通勤で

あったが、届くクロスバイクのことを思えば苦でなく道の下見だと思うことが出来た。

待ちに待った納車日、私にとって大金の6万円したクロスバイク

その深緑の車体を見たとき本当に

買って良かったと乗ることも無く思ったのを覚えている。

乗る姿勢に最初慣れなかったが一漕ぎで驚く程進むクロスバイクにより満足したのは

言うまでもない。

駐車スペースの問題からママチャリはすぐに知人にあげた。

今まで、ママチャリが止まっていたところに私のクロスバイクが収まっている。

扉の前や家の中はどうしても置くことが出来なかったので

共用の駐車スペースだったが不思議と特別な場所に思えた。

これから大事に乗るぞと思った次の朝、ライトが無くなっていた。

クロスバイクに合わせて、購入した少し良いライトで確かに着脱自体は、

ドライバーがあれば簡単だった。

しかしまさか盗まれるとは思っていなかった。あまり治安は良くないと聞いていたが

自分がその被害にあうとは。

一つ勉強だと思って我慢し、100均のライトにした。早々にケチが付いたが

乗り心地は変わらなかったので、何とか切り替えることが出来た。

それから一か月程は楽しい日々だった、会社自体は嫌だったが、クロスバイクに

乗れることがモチベーションになっていた。

アップダウンが激しい道に、ブレーキの摩耗が早く調整など手間もかかったが

余計に愛着が湧いた。

そんないつも通りの朝、出勤しようと駐輪場までいくと

目の前には後輪がぐちゃぐちゃになった私のクロスバイクがあった。

タイヤはくの字に曲がり、フレームもひん曲がっていた。

あまりの衝撃に動けなった。

昨日私はちゃんとしまったはずである、わざわざ引っ張りだして車か何かで

轢いた後、元の場所に戻したのだ。

こんなことがあっていいのか、こんな理不尽があっていいのか。

こんな目に合っても時間は止まってくれない、出勤時間が迫っている。

私は駅に向かって走り始めた自分の足で、乗りたくもない電車に乗るために。

したくない仕事に行く為に。

家に帰っても私のクロスバイクは壊れたままだった。

夢だったらいいなと、寝ぼけた私の見間違いだったらいいなと仕事中ずっと思って

いたが、どうも現実らしい。

なんで俺やねん、俺が何の悪いことをした。

自分で一生懸命稼いだ金で好きな物を買っただけなのに何でこんな思いせなあかんねん

これをやったやつが、今ものうのうとしてるのが腹が立って仕方がない。

それから数日、思い出したくなくて、その自転車を見ないようにしていた。

特別な空間だったはずの場所が見たくない場所になってしまった。

ある時ふと見ると、サドルが無くなっていた。

もう好きにしてくれ、俺は二度とクロスバイクは買わないよ。

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