彼女は僕を見ていない
2作目になります。よろしくお願いします。
桜ひらひら春の昼ごろ。僕は彼女と向き合っていた。
その瞳をじっと見つめる。でも彼女は見ていないんだ。どうしてなの?こんなに君を愛しているのに。何があっても君といると、たとえ死んでも君を守れると、そこまでの覚悟もできているのに。いい加減僕を見て お願いだからさ
ああ、口に出していないから伝わらないのかも。
「好きだよ。大好き。愛してる。誰よりも」
少し笑ってくれたよ。嬉しいな。やっぱり思うだけじゃダメなんだよね。言葉に出さなきゃ。そういえば前にも似たような事を思った気がするんだけど。いつだったかな?
思い出せないや。そっと君の髪を撫でる。サラサラしていて
絹みたいだね。綺麗だよ。
「綺麗だね。美しい髪だね。」
あ、桜の花びらがついちゃってるよ。取ってあげなきゃね。
桜の木下、君は本当によく映えるよ。大和撫子、君のための言葉だね。ああもうだめだ。我慢できないよ。
華奢なカラダをしているね。細いよ細すぎる。簡単に壊れてしまいそうだ。僕が守らなきゃいけないね。任せてよ。
気づいたら周りも暗くなってきたね。帰ろう。さあ君も。
この道は変わらないね。僕らの育ってきた道だよ。手を繋ごうか。うわ、すごい手が冷たいよ。まだ少し肌寒いかな?
それに君は冷え性だものね。カレーの匂いがするね。いい匂い。今日の晩御飯はなんだろうね?僕なんかカレーの気分だよ。君は何がいい?え??ボルシチが食べたいの?変わってるね。初めて聞いたよ。
そろそろ家に着くね。
あれ?なんだろう。身体が熱い。僕どうしたんだ?
『昨夜未明、A県四市にて交通事故がありました。この事故で17歳男子が死亡しました。また事故のあった交差点では、先月17歳の女子高生が亡くなっており見晴らしに問題がある可能性を考慮し、警察は事故の詳しい状況について調べていく方針です。』
お読みいただきありがとうございました。