聖女(未定)入国
歩き始めてある程度時間が過ぎたころ、前方に大きな都市のようなものを見つけた。中世の都市の様に大きな門の周りにレンガで作られた壁がそびえたっている。
「お、ラッキーこのまま歩けばとりあえず町に着くか」
ひとまず安全な場所が見つかっただけ幸運といえるだろう。
しかし、問題があるよくある異世界ものでは町に入るために許可証が必要なことがある。たいていはお金を少し払って一定期間入ることができる救済処置があるが、この世界ではそれが通用するのかわからないのである。
「これで入れなかったら私はまた放浪しないといけないんだけどなぁ」
半分どうにでもなれといった感じでとりあえず入場列へと並ぶ。
「次の人」としばらくして自分の番が回ってきた。
「おや?あまりここらじゃ見ないやつだな。許可証はあるか?」
「えーっとですね、許可証は正直言うとないです」
「流浪人はこっちでいろいろと検査があるからついてこい」
とりあえずここはついていくに限る。
「とりあえず名前と年齢、性別を書いた後、魔力検査をして問題がなければ入国できる」
「魔力検査ってどんなことするんですか?」
「なんだそんなことも知らないのか、ただこの水晶に手を当てればいいだけだ」
やっぱり定番のやり方だったか。
「書類を書き終わったようだな。次にこの水晶に手を当ててくれ」
「わかりました」
言われたとおりに水晶に手を当てると白い光が出てきた。
「魔力検査の結果は問題ないが尋常じゃないほど水晶が光っていたな」
「なんででしょうね」
「まぁいいとりあえず入国はできると分かったからさっさと行くことだな」
「身分証明書とか作れるところってありませんかね?」
「酒場しかないな」
「酒場ですか」
「ここまっすぐに行けば見つかるはずだ」
「ありがとうございました」
「滞在期限は1週間だからそこには気を付けることと身分証明書を作ったときには一度こっちへ来て作った証明をすること」
「それさえ守れればいいんですね?」
「そうだ、しかしこの町は所々治安が悪い箇所があるから気をつけろよ」
「忠告ありがとうございます」
「わかったなら早くいけ、後がつっかえてるんだ」
私は門番に礼を言って町の中に入っていった。
まず始めにするべきは身分証明書の発行だ。
その為に私は町の中をまっすぐに走っていった。