積乱雲(にゅうどうぐも)
夏の雲
天高く立ち上がった大きな雲は
ゆっくりと歩くように
私のところへと近づいてくる
岩を転がしてくる地響きを立てながら
やがて私の頭上を暗く染めて
閃光と空を裂く轟きを響かせる
ときおり、真っ白な光と空を裂く音は地に落ちて
からからに乾いた、広がる大地を砕く
そして
雲から落とされた、いくつかの滴は
やがて天の底が抜けたかのような瀑布となり
大地を濡らし、潤いを与えてゆく
私の耳に響いていた、激しい雨音が退いて
空が明るくなり、青空が見えはじめる
日を浴びた輝く世界
大地に籠っていた熱が引いて、
私は爽やかな、涼しい風を身に受ける
蒼空も街も木々も、瑞々しい輝きを放っている
それはまるで
新しく世界が生まれてくるさまを見ているかのようだ
美しい蒼空と
新しく生まれた世界
夏の景色
私は、その新しい世界を散策するために
いきおいよく、家から飛び出してゆく