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サバイバー・ソロモン  作者: オウルマン
第四章 南西大陸の聖女様
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序章

 この日、ソロモン城の正門館にある研究所は湧いていた。


「これが制式採用されたモデルの異世界式ハンドガンですか」


 ソロモンはピカピカの銃を手に取った。元の世界のハンドガンに似た形状をしているが大きい。それでも携行するには十分なサイズと重量だ。ソロモンの手元にある物とはデザインも少々異なっている。


「そうよぉ。この武器の有用性が軍部に認められたのよ。ステルダムでは既に量産体制に入ったようね」


 ソロモンとエウリーズを中心とした技術者達は、昼過ぎに届いた荷物の中身に大騒ぎであった。それは彼等の成果が認められた報せだったからだ。エウリーズは興奮気味で同封されていた手紙を読んでいる。


「そうだソロモンちゃんが教えてくれた弾なんだけど、生産コストが高すぎるって。使い捨てなのに、技術的にステルダムでしか造れないのは困るって軍部からの意見が出たらしいわ。再利用するにしても一々ステルダムに運び込まないといけない所もネック、とのことねぇ」

「それで代替品がコレですか」


 箱の中には鉄製で針状の物が入っていた。といっても裁縫用の針よりもずっと大きくて太い、円筒に円錐をくっつけた形状の物だ。最初に作った鉛を芯にして真鍮で覆った弾とほぼ同じサイズ。


「鉄製だから加工は容易。使い終わった後も溶かして型に入れるだけで再利用が出来る。なによりステルダムでなくても生産できるのが良いわね」

「コストパフォーマンスもいい、ですか。確かにそうですね。そうか、これは思い付かなかったなぁ」


 尖った先端に気を付けながら現物を触ってみる。試射も行ったそうで殺傷力は十分にあるそうだ。


「それとソロモン式通信機! これが大好評みたいね。一々伝令を飛ばさなくても、戦況の把握や複数の部隊への指示が出来る。これは戦場の常識を覆す発明品だと、軍司令部が大絶賛しているらしいわよ」

「そりゃあいいね。好評でなによりだ」


 マガジンを外したり、安全装置の位置を確かめたりしながら具合を確かめた。基本的な所は試作品と変わりはない。


「研究費用の追加が出るみたいよぉ。軍からも予算を回してくれるそうね。ソロモンちゃんを含む技術者の報酬、これも追加ね」

「段々話が大きくなってきたな。過大評価じゃないのかと思っちゃいますよ」

「ホッホッホ、そんなことはないぞい。謙遜しすぎじゃ」


 上機嫌でソロモンの肩を叩くのは髭長の最年長技術者、ヴァイパー博士だ。雷魔法の専門家で電気関係の知識を提供してから、妙に好かれている。


「さてと。ソロモンちゃん、ワタシからの提案なんだけど。今日は打ち上げってことで景気良くやらない? 偶にはいいでしょ?」

「賛成です。今夜は大宴会ですね!」


 反対意見が出なかったのは言うまでもない。


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