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第2話 紋様

 クレア家のシオン。

 その名前は学校ではよく知られた名前だ。

 学力優秀で魔法の実力も学内トップクラス。おまけにイケメン……と王族のユーリに負けず劣らずのハイスペックな生徒なのだが、同時に変人としても有名だ。

 探究心に手足が生えた。とまで揶揄されるシオンはとにかく色んな揉め事に頭を突っ込む。

 学園内、王国内の事件に彼が関わってない事件はないとまで言われるほどだ。


 そんな彼がルイシャに興味を示すのは当然の話だ。

 シオンはルイシャが一人でいるとよく話しかけていた。ルイシャも物知りで意外と面倒見のいい彼といるのは嫌いではなかった。

 なので今回の突然の訪問も驚きはしたが別に嫌ではなかった。


 しかしシャロとアイリスは別だ。

 二人はシオンと直接の面識はないが、その悪名は耳にしたことがある。

『魔法学園一のトラブルメイカー』。そうまで呼ばれる彼が来ていい気がしないのは当然だ。


「シオンさん、ダンジョンってなんのことですか?」


「ふふ、いい質問だルイシャ。でもまずは部屋に入っていいかな?」


「入るな」とばかりにシャロとアイリスがシオンを睨みつけ殺気を放つが、シオンは全く意に介さず涼しい顔して部屋に入ってくる。


「ふふふ、お嬢さん方ちょっと失礼するよ。なあに君たちの王子様を盗むつもりはないから安心して欲しい」


 二人の殺気に怯むどころかこんなジョークまで言う始末。

 かなりの大物だ。


 ベッドから体を起こしたルイシャの横に行き、三人全員を見渡しながらここに来た理由を話し始める。


「ダンジョン。それは男のロマン。ルイシャも名前くらいは聞いたことがあるだろ?」


「ええまあ……」


 ダンジョン。

 それは魔物が湧く建物や遺跡、洞窟などのことを言う。

 その最深部にはお宝が眠っており、それを手にするとダンジョンは魔物が湧かなくなり普通の建物になる。

 自然に生まれた物や人為的に作られた物もあるが、共通しているのはお宝の価値が高ければ高いほどそこに住む魔物も強いということ。

 ダンジョンに挑戦するのは冒険者がほとんどで、今日も数多の冒険者がダンジョンに挑み、ある者は夢を掴み、ある者は命を落としている。


「でもなんで今ダンジョンなんですか? 僕は特にお金に困ってないですよ」


 学園から給付金を貰ってる上、寮でご飯も食べれるのでルイシャは裕福でこそないが普通の生活を送れている。

 ダンジョンに心惹かれないわけではないが、今はそれより修行して竜眼を使いこなせるようになりたかった。


 なので断ろうとしてたルイシャだったのだが、次のシオンの一言できがかわることになる。


「おや、いいのかい? その遺跡は勇者が関係している(・・・・・・・・・)かもしれないのに」


 その一言でルイシャだけでなくシャロとアイリスも耳をピクリと動かし真面目な顔つきになる。

 ルイシャは慎重に言葉を選びながらシオンに質問する。


「それはどういう事ですか……?」


「ふふ、食いついたね。君なら乗ってくると信じてたよ」


 博識なシオンにルイシャは普段から色んな事を聞いていた。

 特にその中でも勇者関連の話をする時、ルイシャは自然にいつもより真剣に聞いていた。

 なのでシオンはルイシャがこの手の話に弱いことを知っていたのだ。


「それじゃ説明しよう。つい最近見つかったそのダンジョン。古い遺跡の形で地下に道が広がっているんだけど、その入り口には封印がかかっていて入ることが出来ないんだ。まーその封印が強固らしくてね。冒険者の人達も中々解除できないらしいんだ」


 ダンジョンは入るものを選別するために封印がかけられてる物も珍しくない。

 無理矢理封印を壊すとダンジョンが崩れたり、お宝が壊れたりしてしまうので冒険者の間では封印を無理矢理どうにかしようとするのは禁止されている。


「で? その封印がなんだってのよ」


「ふふ、まあそう急かさないでくれよシャルロッテ君。その遺跡にかけられた封印なんだけどね、見覚えのある紋様が描かれてたんだ」


 そう言ってシオンは懐より小さな紙を取り出し三人に見せる。

 そこには何やら花弁をモチーフにした紋様が描かれていた。


 それをみたシャロは「まさか……」と顔をこわばらせる。


「ふふ、気づいたようだね」


 シオンは得意げな顔をしながら壁に立てかけられてたシャロの剣「フラウ=ソラウス」の前に移動すると、その鞘に彫られている紋様の横に紙を並べる。

 その二つの紋様はなんとピタリと一致していた。


「さてシャルロッテ君。この紋様にはどういう意味があるのかな?」


「その紋様は……勇者の血族に伝わる『家紋』よ」


 それを聞いたシオンは満足そうに頷くとルイシャの方に目を運び「どうする? ルイシャ君」と尋ねた。


 それに答えるまでもなく、ルイシャの答えは決まっていた。

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