第1話 休養
コジロウと戦った日の夜。
ルイシャは自室で休んでいた。
傷こそ深くはないが魔力と気の消費が激しかった。
なのでそんな疲れ果てたルイシャを介護する為に2人の人物がルイシャを介護していた。
「ほら! 私の作ったご飯を食べなさいっ!」
「ふふっ、そんな物より私の作ったスープの方が美味しいし元気が出ますよ。ほら、ルイシャ様ずずいと飲んでください」
「ちょ、ちょちょっと2人とも! 危ないから一つずつ食べさせて!!」
シャロとアイリス。2人から一気に食べさせられそうになったルイシャは大声を出して2人を落ち着かせる。
「なによルイ! 私よりこの無愛想女を選ぶっていうの!? わかった胸ね! この無駄にでかい乳にたぶらかされたのね!!」
ぷんぷんと怒るシャロ。
そんなシャロとは対照的にアイリスは余裕といった態度だった。
「シャルロッテさんの料理を見せていただきましたが、お世辞にも上手とは言えませんね。火を入れすぎですし、調味料も多い。あれでは素材の味を殺してしまいます」
「ぐぬぬ……ちょっと料理が上手でおっぱいが大きいからって調子に乗ってぇ!」
「ちょ、なに揉んでるんですか! この胸はルイシャ様だけのもの、って、きゃあ!」
怒った様子のシャロがアイリスの大きな胸を両手で後ろから揉み始める。
ぎゃあぎゃあ言い合う2人。意外と仲は良さそうだ。
そんな2人を「はは……」と笑いながら見守るルイシャ。
ルイシャは2人が落ち着くのを見計らって気になってた事を聞く。
「結局あの後ってどうなったの?」
ルイシャはコジロウの治療をした後、すぐに腕利きの回復術師の元に連れてかれた。
なので今回の大事件の後処理がどうなったのか知らないのだ。
「そう言えばまだ話してなかったわね」
アイリスの胸から手を離したシャロはドサっと椅子に腰を下ろすと、ルイシャがいない間に何があったか話し始める。
「人こそ死ななかったけど学園内であんな大事件が起きちゃったからもちろん大事になってるわ。幸いユーリが擁護してくれてるからコジロウを呼んだレーガス先生はそれほど重い処罰にはならないと思うけど」
それを聞いたルイシャの胸がズキリと痛む。
あの時自分を抑えていればレーガス先生が傷つくことも、責任を追及されることもなかったのにと。
しかし落ち込んでも事態は良くならない。
ルイシャは心の中で次は上手くやると決心する。
「……どうしたのルイ? 真面目な顔しちゃって」
「ああごめん。話を続けて」
ルイシャに促されシャロは説明に戻る。
その話によると、学園はこの事件の後始末と対策会議のために一週間休校になるらしい。
しかもそれはルイシャたちだけでなく全校生徒が対象のようだ。
「一週間かあ、長いね」
「そうね。まあ体力が回復したら2人で……」
遊びにいきましょう。と言おうとしたシャロだったが、その言葉は突如バァン!! と開いた扉の音によって邪魔される。
「「「!!」」」
突然の乱入者の出現に身構える三人。
そんな中ルイシャだけはその人物をみて「へ?」と声を上げる。
なぜならその人物はルイシャが知る人物だったからだ。
「シ、シオンさん!? なんでここに?」
2年A組所属。
ルイシャの先輩であり学園きっての秀才である彼は、展開についていけない三人を置いてけぼりにしてキメ顔でこう言い放った。
「ルイシャ! ダンジョンに行くぞっ!」





