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第21話 竜功

「シャロ! これ持ってて!」


 そう言ってルイシャはシャロに、まだコジロウの手首が付いたままの刀を投げ渡す。

 クルクル回りながら自分の元に飛んでくる刀の柄部分を見極めたシャロはパシッと刀をキャッチする。


「取ったわよ! ……って何コレ!? 手首がつきっぱなしじゃない!?」


 思わぬ付属物に驚き慌てるシャロだったが渡されたその刀を放しはしなかった。

 それを見て安心したルイシャはコジロウに向き直る。

 切り落ちた右腕の先からは結構な量の血が流れていたが、今は既に気で傷口を固めて止血していた。


「よくも……よくも私の腕を……っ!! 許せぬっ! もはや貴様の命だけで賄えると思うなよッ!!」


 目を充血させながら吼えるコジロウ。

 刀を失えば戦意を喪失してくれるかもとルイシャは少し期待していたのだがそう上手くはいかなかった。


「まだやるんですね」


「くく、刀を奪えば私が負けを認めるとでも思ったか? 私をそんな根性なしと思わない方がいい。こちとら30年間戦場で人を斬り続けてんだよ! てめえみてえな甘ちゃんに負けるわけにゃあいかないんだよ!」


 コジロウは「魔法剣(ソドル)!!」と魔法を唱えて透明な魔法の剣を作り出し左手で握り、構える。

 それを見たルイシャも剣を強く握り構える。


「あなたの戦いに対する容赦の無さ、そして戦いにかける執念。それはどれも僕が持っていなかったものです。そんなあなたへの尊敬も込めて……僕も本気でやらせてもらいます」


「ぬかせっ!」


 利き腕を失ったとは思えないほどの鋭い斬撃が放たれる。

 しかし竜眼を得たルイシャからしたらこの程度避けるのは容易い。


 コジロウの攻撃を最小限の動作で躱したルイシャは右の手を貫手(ぬきて)の形にし、気功を練り込む。

 そしてまるで蛇のように腕をくねらせながらコジロウの腹目掛け貫手を放つ。


「気功術、攻式八ノ型……『蛇牙羅突(だがらづ)き』!!」


 ルイシャの貫手はコジロウの剣撃の隙間を縫い、まるで意思を持つ本物の蛇如き動きでコジロウの脇腹に突き刺さる。

 思わぬ反撃を受けたコジロウは顔をしかめ一旦退く。

 傷口は浅い。これなら戦闘に支障はない……と思った瞬間コジロウの膝から力が抜け、その場に膝をついてしまう。

 剣を握る手からも力が抜け、魔法の剣は手からこぼれ落ちてしまう。


「な、なぜ力が入らない!?」


 剣気を使うことはできても気功術に詳しくないコジロウは気づかなかった。

 先ほどルイシャの放った突き技。あれは気の波長を身体に悪影響の出る気に変換し、相手の体内に打ち込む技だ。

 気は「薬」にもなれば「毒」にもなる。この技はその毒性を高め技として昇華したものだ。

 厳密には毒そのものではなく「気」の為、毒素を分解する飲み薬や回復魔法では治すことができない恐ろしい技だ。


「はあ、はあ、まだまだ……」


 既に満身創痍のコジロウだが、彼はまだ諦めてなかった。

 まだあまり使ってない魔力を総動員し、彼の最大魔法を組み立て始める。


 それを見たルイシャもそれに真っ向から打ち勝つために新たに生まれた力を使うことを決める。


 それは竜族のみが使える伝説の気功術。

 その名も。


「竜功術……攻式一ノ型っ! 『竜星拳(りゅうせいけん)』ッ!!」


 まるで流星の如き光を纏ったルイシャは、光り輝く拳を振りかざしコジロウに向かって走り出した。

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