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第16話 回復

「将紋」


 それは優れた才能を持つ者が、常人離れした努力を続けた時に得ることが出来る一つの到達点だ。将紋を得ると超位魔法の上位魔法である『将位魔法』を使えるようになり、更に身体能力及び魔法の威力にもボーナスがかかる。


 つまり、将紋を持つ者と持たない者では実力にかなりの差があるのだ。


「なんと無謀な……私と君の実力差が分からぬ訳ではあるまい」


 コジロウは剣を構えるルイシャにやれやれといった感じでそう言う。

 当然ルイシャだって自分が不利な事は理解している。

 ルイシャの『魔竜将』の将紋は未完成。なので『将位魔法』を使うことも出来なければ紋章によるパワーアップの恩恵も得られてない。


 しかし後ろにいる守らなければならない者達の為にも逃げるわけにはいかなかった。


「シャロ! 先生の容体は大丈夫!?」


「ええ! 命には別状ないわ!」


 シャロ含む生徒達はレーガスの治療に当たっている。

 幸い傷はそれ程深くなく致命傷ではなかった。


 しかしレーガスは相当傷が痛むらしく、「うう……」と呻いている。


「これは早く治療しないとマズそうね……ローナ! 頼める!?」


「う、うん! まかせてシャロちゃん!」


 シャロに呼ばれて出てきたのは白いローブに身を包んだ女生徒「ローナ・ホワイトベル」だった。

 穏やかでおっとりとした性格、そして何より大きな胸とお尻と溢れ出る母性で男子生徒からの人気が非常に高い。

 そんな彼女の得意魔法は「回復魔法」だ。

 それ以外の魔法は全く駄目で運動神経も皆無のローナだが、回復魔法(それ)だけは他の追随を許さないほど抜きん出ていた。


「せんせ! 大丈夫ですかぁ? 今治してあげますねぇ」


「うぐぐ、頼む……」


「いきますよぉ。上位回復(ハイ・ヒール)!!」


 ローナがそう唱えると、レーガスの腹部にある傷口に緑色の光が集まり始める。

 その光はレーガスを苦しめる痛みを収め、さらに傷口を塞いでいく。

 するとものの数秒でレーガスの傷口は綺麗に消え、痛みも完全に収まった。


「ふう、これで大丈夫ですかねぇ」


「でかしたわローナ! さすが私の友達ね!」


 そう言ってシャロはローナの背中をバンバン叩く。

 ローナは少し痛そうにしながらも「えへへ」と照れる。


「さて問題はあっちね」


 レーガスの容体が安定したことでシャロはルイシャ達の方を気にする。

 二人はお互いに剣を構えたまま動かない。素人が見たらただ止まってるようにしか見えないが、シャロにはお互いが出方を疑い視線を動かしたりしてフェイントを掛け合ってる高度な心理戦が行われてることが分かった。


「なあ、俺たちも加勢した方がいいんじゃないか?」


 自分が何もしてないことに罪悪感を感じたバーンがそう提案するが、意外にもそれを否定したのはヴォルフだった。


「いや……それは駄目だ」


「何でだよ? 一人で戦うよりはマシだろ?」


「いや、今回は相手が強すぎる。俺たちが加勢に入っても大将の邪魔になるだけだ……!」


 そう語るヴォルフの口元からは血が一筋ながら落ちる。

 悔しさのあまり血が出るほど歯を食い縛ってるのだ。


 それに気づいたバーンはそれ以上聞くのをやめる。


「強く……ならなきゃな」


「あぁ、もうこんな思いはたくさんだ」


 二人は強くなることを誓いルイシャ達の戦いを見るのだった。

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