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第2話 正体

 その日の放課後。

 ルイシャは一人で王国の外に出ていた。


 そして王国から出て徒歩20分ほどで着く森の中に足を踏み入れていた。


(……よし、追ってきているみたいだね)


 後方に意識を集中してみると自分を追ってくる気を感じる。

 人数は一人。その人物はルイシャとかなり距離をとっており、更に魔力の放出も抑えているため普通の人は気づかないだろう。しかし「気」を探知できるルイシャは追跡者を感知していた。


「ここらへんでいいかな?」


 森の中に入って数分後。

 少し開けた場所についたルイシャは立ち止まる。

 そして近くに落ちていた棒を拾うと地面に何かを書き始める。


「〜〜〜〜♪」


 鼻歌を歌いながらルイシャは地面に模様のような物を書いていく。

 そして二分もするとルイシャの書いているものの正体が分かってくる。


 それは「魔法陣」だ。

 魔法陣は丸い模様の中に五芒星を書き、その周りに古代語を書くことで完成する。

 魔法陣には二つの効果がある。

 一つは魔法の効果を高める効果。魔力消費を少し減らしたり、魔法の効果を少し上げたりできるが一回魔法を使うと魔法陣は消えてしまうため手間がかかりあまりこれは使われない。


 なのでもっぱら魔法陣が使われるのは二つ目の効果が目的だ。

 それは「結界」。魔法陣には結界を安定化させる効果があるのだ。

 魔法陣がなくとも「結界魔法」は使えるが安定性が全然変わってくる。そのため「結界」と「魔法陣」はワンセットで使われることが非常に多い。


 ルイシャが魔法陣を作ったのも後者のためだ。


「よし、魔法陣起動!」


 ルイシャが魔法陣に手を置き、魔力を込めると魔法陣が光り出す。無事起動した証拠だ。


「……しまった!」


 そう声を出したのはルイシャを追っていた謎の人物。

 魔法陣が起動したのを見て自分が嵌められたことに気づく。


 急いでルイシャから離れようとするがもう遅い。

 すでにルイシャはその人物を捉えている。


「結界魔法……黒檻」


 ルイシャが魔法を完成させると地面から黒い鉄柱が無数に生えてくる。

 円を描くように生える鉄柱はルイシャとその追跡者を囲むように空へ伸びていく。


 そして天に生えた鉄柱同士は上がるにつれ段々閉じていき、結合する。

 その形はまるで大きな鳥籠(とりかご)のようだった。


「くっ! こんなもの!」


 追跡者は必死に鳥籠を攻撃し逃げようとするが、この結界の強度は凄まじくヒビすら入れることができない。

 それもそのはず、この結界魔法は魔王テスタロッサ直伝の結界術。特殊な効果こそないがその強度は折り紙付きだ。


「やっと会えたね」


 ルイシャは結界から逃げられなくなったその人物に近づく。


「いったい誰なん……へ?」


 追跡者の顔を見たルイシャは素っ頓狂な声をあげる。

 なぜならルイシャはその人物を知っていたからだ。いや知ってる所ではない。


 なぜなら……その人物はルイシャのクラスメイトだったからだ。


「なんで君が……?」


 ルイシャが問いかけるとその人物はルイシャを強く睨みつける。

 その追跡者……「アイリス・フォンデルセン」は殺気を隠そうともしない。

 黄金色の長い髪に鮮血の如く赤い瞳の持ち主のその美少女は、ルイシャが唯一仲良くなっていないZクラスの一員だ。


「見つかってしまったらしょうがないですね」


 アイリスは逃げられないことを悟るとルイシャに臨戦態勢をとる、その姿からはとても手加減を期待できそうにない。どうやら本気でルイシャを殺す気(・・・)のようだ。


「ちょ、ちょちょちょっと待ってよ!? なんで君と僕が戦わなくちゃいけないの!?」


 ルイシャが戸惑うのも当然。

 二人は数えるほどしか言葉を交わしたことがないからだ。

 しかもその少ない会話もルイシャから一方的に話しかけ無視されている。なのでなぜ自分が恨まれているか全く心当たりがなかった。


「問答無用。我が主人の敵、取らせていただきます」


 アイリスは冷たくそう言うとルイシャに飛びかかってくるのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] へぇ?ルイシャが『我が主人』の敵?どゆこと?
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