第14話 管理者
「あー今日も疲れた!」
ルイシャはそう言ってボフッ! と自室のベッドに横たわる。
そしてそのまま布団にくるまり寝る姿勢になる。
ここはルイシャが住んでいる魔法学園の寮だ。
魔法学園の生徒は王国外からの者も多いので学園内には大規模な寮が用意されている。
朝晩にバランスの良い食事が出るにもかかわらず、寮に住む値段は宿に泊まるよりも遥かに安く設定されている。そのうえA、Bクラスの生徒に至っては無料で利用することができる。
それもあって全生徒の8割が寮生活を送っている。
今年度から出来たZクラスも寮費が免除されているためルイシャはその恩恵にあずかっている。
フカフカの布団に美味しい食事。ルイシャはそれだけでこの学園に入って良かったと思っていた。
「おやすみなさい……」
そう言ってルイシャは深い眠りに落ちて行ったのだった……。
◇
「んん……」
深い眠りから覚め、ルイシャは伸びをする。
眠気まなこをこすりながら起きたルイシャは、そこである異変に気づく。
「あれ? 布団がない。へ? ていうかここは……?」
くるまってた布団がない。いやそれどころか自分はベッドの上にすらいない。
自分がいるのは硬い地面の上。そして周りはどこまでも続く真っ白い空間。
ルイシャはこの光景に見覚えがあった。
「う、嘘でしょ……!? なんで、なんでまた無限牢獄の中にいるんだ!!」
無限牢獄。
ルイシャが300年の時を過ごした異空間だ。
確かに脱出したはずなのになぜ!?
混乱するルイシャだがあることを思い出す。
「そうだ! ここが無限牢獄ならテス姉とリオもいるはず!」
そう考えたルイシャは辺りを見渡すがその姿は見えない。
遠くにいるのかと魔力探知もしてみるがその気配は微塵も感じられない。
「何も感じられないなんて……! 本当にここは無限牢獄なの!?」
誰に言うでもなく叫ぶルイシャ。
しかしその言葉に反応する者がいた。
「落ち着きなさい。ここはちゃんと君のよく知る無限牢獄だよ」
「へ?」
その言葉に反応しルイシャが振り返ると、そこには白い椅子に優雅に座る一人の女性がいた。
年は20代前半くらいだろうか。腰まで伸びた煌く美しい桃色の長髪。すらりと細長いながらも引き締まった肢体。長い睫毛に切れ長の綺麗な目。
控えめに言ってとても美しい女性だった。シャロが大人になったらこんな女性になるのかな?
その女性が白い机の上からティーカップを手に取り口に運ぶと、向かい側に置いてあるもう一つの白い椅子を指差しルイシャに座るよう促す。
迷うルイシャだったが、目の前の人物からは敵意は感じない。ひとまず従ってみるしかないか。
「えと、失礼します」
「そうかしこまらなくてもいいのですよ。そうだ、これを飲んでください。落ち着きますよ」
席に座ると女性がどこから出したのか液体の入ったティーカップをルイシャに出してくる。
桜の花びらが浮いている薄桃色の液体。ルイシャは少し飲むのを躊躇ったがグイッと一気に飲み干す。
「……あ、おいしい」
「ふふ、それはよかった」
そう言って笑う謎の女性の顔を見てルイシャは胸がドキリとしてしまう。
暖かくて見てるとなんだか安心してしまう。そんな不思議な女性だった。
「あの、あなたは……?」
「私の名前は『桜華』。勇者オーガにここ無限牢獄の管理を任されている者です」
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