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魔王と竜王に育てられた少年は学園生活を無双するようです(web版)  作者: 熊乃げん骨
第13章 少年と蛇人族《ラミア》と男子…
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第12話 不尽のレギオン

「くらえぇっ!!」


 シャロは勇者の剣の切先をレギオンに向け、物凄い勢いで駆ける。

 そしてレギオンに肉薄すると、その切先を彼の胸に思い切り突き出す。


 ずぶり、という嫌な感触がシャロの手に伝わる。

 致命傷を与えたという確かな感触。剣が突き刺さった箇所からは血が流れ落ち、剣をつたいシャロの手にまで到達する。

 しかしそんな状況にもかかわらず、レギオンは平然とした顔をしていた。


「やれやれ……あなた方の攻撃が私に通じないことくらい、いい加減理解してほしいのですが」


 そう言った次の瞬間、シャロの側頭部に強い衝撃が走る。

 顔を歪めながら衝撃が走った方向に顔を向けると、そこには拳を突き出しているもう一人のレギオンがいた。


「こいつ、やっぱり増え……」


 シャロは初撃を繰り出した時、周りに注意を払っていた。

 魔法を使ったらすぐにでも察知できるように、神経を張り巡らせていた。しかしそれにもかかわらずもう一人のレギオンが現れたことを全く察知できなかった。


 そしてそれは少し離れたとこで一連の出来事を見ていたルイシャとアイリスもそうであった。


(どういうこと!? 気づいた時にはもう分身が出現していた。増えたことを認識できない(・・・・・・)! いったいどうやって分身を生み出してるんだ!?)


 混乱するルイシャたちをよそに、レギオンの肉体は増え続ける。

 いつの間にか彼らに囲まれていたシャロは、最初に突き刺したレギオンから剣を引き抜こうとするが、そのレギオンは剣の刀身をつかみ、引き抜くのを阻止する。


「ふふ、犬死にはしませんよ。他の私が攻撃する隙くらいは作らせていただきます」

「な……っ!?」


 レギオン単体の力は弱い。抵抗されたとしても少し時間がかかるだけで問題なく剣を引く抜くことができるだろう。

 しかし囲まれたこの状況では、僅かな隙を晒すことは命取りであった。


 シャロを囲むレギオンたちは一斉に彼女に攻撃を始める。

 殴り、蹴り、つかみ、絶え間のない暴力を浴びせる。それはもう戦闘などという高尚なものではなく、私刑リンチであった。


「う゛っ、が、あっ……!」


 苦しそうに呻くシャロ。

 魔法を発動する暇すらなく痛ぶられた彼女は、しかし薄れゆく意識の中かろうじて一言だけ呟くことに成功する。


「あ、鎧化アームド……!」


 そう呟いた瞬間、漆黒の鎧が展開され彼女の体を覆う。

 それはエキドナより受け取った勇者の鎧であった。使用者の意思により形を自由自在に変えるその鎧は、シャロを暴力の渦から守ることに成功する。


「がああああっ!!」


 鎧を展開し痛みから逃れた彼女は、剣を引き抜き今まで自分に暴力を振るってきたレギオンたちを切り刻む。

 なんとかピンチを切り抜けたシャロは肩で息をしながらその場に膝をつく。


「シャロ! 大丈夫!?」


 なんとか他のレギオンを倒したルイシャがシャロに駆け寄ってくる。

 疲弊した彼女を見たルイシャは、回復魔法で動けるレベルにまで回復させる。


「ありがとうルイ、もう大丈夫よ」


 なんとか立ち上がるシャロ。

 しかし彼女の視線の先には、以前けろっとした様子のレギオンがいた。


「いやはや、たいしたものです。その歳でこれほど強いとは。早い内に芽を摘むことができて助かりました」

「もう勝った気とは気が早いですね。僕たちはまだ戦えますよ」


 ルイシャは強く睨みつけながら言う。

 シャロを傷つけられたことで彼もまた強い怒りを感じていた。逃げるという選択肢は消え、ここで倒すと決めていた。


「勇敢ですが、それは無理というものです。貴方たちと私には圧倒的な戦力差・・・があります」


 レギオンが指を鳴らすと、彼の背後から無数のレギオンが姿を現す。

 その数は10や20ではきかない。ざっと数えただけでも100は軽く超えている。


「質より量。数は力。どんな英雄も単騎で軍には敵いません」


 100を超える軍勢レギオンが、一斉に一歩踏み出す。

 質量が、絶望がルイシャたちに迫る。


「それでは、蹂躙を始めましょう」

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書籍版「魔王と竜王に育てられた少年は学園生活を無双するようです 1」
著者:熊乃げん骨
レーベル:オーバーラップ文庫
 発売日:2020年12月25日
ISBN: 978-4-86554-800-6
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