第12話 後始末
「まったくお前らやりすぎだ!!」
Zクラスの教室にユーリの大声が響き渡る。
彼の前には正座する生徒が4人。
Aクラスで暴れたルイシャと三馬鹿だ。
「はあ、僕が目を離した隙にこんなことになるなんて。国王になんて説明したらいいんだ!!」
「でもよう。先に手を出したのあっちなんだから……」
「うるさいバーン!」
ユーリがビシッと叫ぶとバーンはシャキッと背筋を伸ばす。
ユーリの持つ王族の圧には態度の悪いバーンですら従ってしまう。
「まあ幸い向こうが先に手を出したこともあり何とか手打ちにできそうでよかったが……。一歩間違えば戦争にまで発展しかねないんだぞ? 僕の胃にも少しは気を使ってくれ」
疲れ切った顔でユーリが言うと4人は「「「「はーい!」」」」と元気よく返事する。
なんかもう色々と疲れたユーリは「はあ、もういいよ。解散」と言う。
Aクラスの一件はすぐに学園中で話題になった。
話を聞きつけたユーリは急いでAクラスに向かったのだが時すでに遅し。そこにはボロボロになった教室と、大怪我をしたAクラスの生徒数名。そして呑気に「やったぜ!!」とハイタッチするクラスメイトがいた。
ユーリはあまりの出来事に立ちくらみを起こし気を失いそうになるが、なんとか踏みとどまった。彼もZクラスで過ごすうちに精神的に打たれ強くなったのだ。
その後は呑気に浮かれているクラスメイトを引っ叩き、事後処理に奔走した。
全てのカタがついたのは次の日の昼過ぎ。優秀な彼じゃなければここまでの短時間に貴族の親を説得し丸く収めることは出来なかっただろう。
「ごめんねユーリ。大変だったでしょう」
ドサっと席に座り疲れ果てた様子のユーリに、ルイシャは申し訳なさそうに話しかける。
「はは、いいんだよ。このクラスを作ると決めた時から揉め事に巻き込まれることは予想していたからね」
そう言ってユーリは死んだ目で「はは」と笑う。
その様子を見てルイシャの良心がズキリと痛む。
「うう、次はちゃんとユーリに相談してからやるよ」
「ああ、次はそうしてくれ」
ユーリはそう言うと机に突っ伏して寝息を立てる。
どうやら昨日からほとんど寝ずに後始末をしていてくれたようだ。
ちなみに今は自習時間。なぜならレーガス先生が呼び出しをくらって怒られているからだ。
後で先生にも謝らなきゃなあ。ルイシャはそう考えながら外に出る。
特に理由はない。教室ではみんながそれぞれ勉強したり魔法の練習していたがなんとなくそれに混じる気分ではなかった。