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第4話 マンドラゴラ

「これがマンドラゴラ……初めて見ました」


 翌日の朝早く。

 寮の裏手に作った畑にやってきたルイシャとアイリスは、植えてあるマンドラゴラの状態を確認する。


「それにしてもこんな貴重な物の種をくれるなんて、あの帝国の軍人はなにを考えているのでしょう?」

「うーん……あの人は裏表のない人だから、意外となにも考えてないかもよ? なんか僕に渡したら面白いことに使いそう、みたいな気持ちかも」

「そんな軽薄な気持ちでこんな物を……物の価値が分からない人間の思考は理解できません」

「まあまあ、そのおかげでこうやって解決の糸口がつかめたんだからいいじゃん」

「それはそうですが……」


 釈然としない様子のアイリス。

 一方ルイシャは深いことは考えずどんどん話を進める。


「それで、どう? マンドラゴラなら性転換魔法は作れそうだった」

「はい。昨日いただいた収穫済みのマンドラゴラを部屋で解析しましたが、これであれば問題なく性転換は可能だと思います」

「ほんと!? やった!」


 喜ぶルイシャ。

 しかしアイリスの顔は明るくなく。彼女は申し訳なさそうに「ですが……」と付け足す。


「その効果時間はおそらく長くはないかと。持って十分やそこら……これでは十分おきに魔法薬を飲まないといけなくなってしまいます」

「さすがにそんな間隔で飲んでたらお腹がたぷたぷになっちゃうね……。じゃあやっぱりこれを使った方が良さそうだ」


 そう言ってルイシャは畑に植えてある、一際大きなマンドラゴラに目を向ける。


「このマンドラゴラならどう? もしかしたら渡したやつじゃできないかもと思ってここに来てもらったんだ」

「これは……本当にマンドラゴラなのですか? ちょっと立派すぎませんか?」


 アイリスは少し戸惑った様子でその巨大マンドラゴラを観察する。

 そしてルイシャに承諾をもらった後、地表に露出している根の一部を切り取り、魔力を流してチェックする。


「これは凄い……いただいた普通のマンドラゴラよりも、ずっと効能が高いです。これを使用すれば、きっと性転換していられる時間が長い魔法薬が作れます!」

「ほんと! やったね!」


 喜び合うルイシャとアイリス。

 これで蛇人族ラミアの里に入る手段はできた。ルイシャはさっそくそのマンドラゴラの収穫に入る。


「じゃあ今からこれを抜くけど、マンドラゴラは抜く時に叫ぶから一応耳を塞いで下がってて」

「叫ぶ植物とは珍しいですね……さすが伝説の植物です」


 アイリスは指示通り耳を塞ぎ、少し離れる。

 ルイシャはそれを確認すると、左手でマンドラゴラの根本をガシッとつかみ、もう一方の手に黄金の剣、竜王剣を握る。


(小さい個体でもかなりの声だった。こんなに大きいんだからきっと声も大きはず。一瞬で決める!)


 深く集中したルイシャは、一気に巨大マンドラゴラを引き抜く。


『GYA……』

「そこっ!!」


 巨大マンドラゴラの顔が露出した瞬間、その顔を容赦なく斬る。

 竜王剣の鋭利な刃は巨大マンドラゴラの顔を綺麗に両断し、マンドラゴラは叫びは途中でかき消えてしまう。


『AA……』


 最後に悲しげな声を少し出し、巨大マンドラゴラは完全に沈黙する。

 ルイシャは少し哀れに思うが、これも目的のため。手の中で謝り有効活用することを誓うのだった。



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