第10話 反撃
ハウロとその取り巻き6人はルイシャ達めがけ様々な魔法を放ってくる。
狙いはそれほどよくはないけど、威力はそこそこ。廊下に集まってる他のクラスの野次馬に当たらないように気をつけないと。
ルイシャが一瞬でそこまで思考を巡らせているとルイシャの前に三馬鹿の一人、巨漢のドカべが飛び出してくる。
「ここはオデに任せろ! 中位防壁!!」
ドカべの前に現れた青く輝く魔法防壁はハウロ達の放った魔法を全て受け止め無力化してしまう。
それを見たハウロ達の顔が青ざめる。
馬鹿な。俺たちの魔法が中位魔法一つに防がれた!? しかも名前も知らない奴に!!
彼らが動揺している隙をつき、今度はバーンが飛び出し魔力を練り始める。
「ハッハー! よくやったぞドカべ! あとは俺様に任せな!! 我が必殺のぉ爆破ァ!!」
バーンが魔法を発動させるとハウロ達の杖が爆発し、砕け散る。
爆破魔法は本来高威力の代わりに制御が難しく、このような精度で発動させることは不可能だ。
しかしバーンは毎日のようにルイシャの放課後特訓(通称ルイシャ塾)に参加し、威力そのままに精度をあげることに成功していたのだ。
「おいハウロ!! 簡単に勝てるんじゃなかったのかよ!!」
「うるさい!! 喋る暇があったら攻撃しろ!!」
「そんなこと言ったって杖がなくちゃ強い魔法は使えねえだろ!」
たった二つの魔法で窮地に陥ったハウロ達は混乱する。
彼らは授業で魔法を使ったり、弱いものいじめをしたことはあっても実戦は素人。
しかしルイシャたちは毎日実戦形式の特訓をルイシャ塾で行っている。魔王直伝の杖なしで魔法を効率よく練る方法も習得済みだ。
Aクラスの者とは地力が違う。
「くそっ! 俺はもうついてけねぇ!」
そう言ってハウロの取り巻き3人は逃げ出す。
しかし三馬鹿の最後の一人、小柄な少年メレルが彼らの行く手を遮る。
「おっと逃さないよ。喧嘩を売っといてそれはないでしょ」
「そ、そこをどけ! 痛い目見るぞ!」
小さいからとメレルを侮った3人は拳を握り締め殴りかかる。
それを見たメレルはニヤリと笑い、魔法を唱える。
「脚力強化……!!」





