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第21話 蘇る伝説

 突如現れた沈没船たち。

 それらはク・ルウめがけ砲弾を大量に放つ。


『ルル……アァッ!』


 突然の加勢に怒ったク・ルウは、胴体にある口から巨大な水の塊を放つ。

 エネルギーの消費が激しいため使わなかったその水の大砲の威力は絶大。命中した船は一瞬で粉々になり海の底へと沈んでいく。


『いあ♪』


 それを見たク・ルウは楽しげに笑う。

 しかしそれでも他の船たちは全く怯まず砲撃を続けた。彼らは既に一度死んだ身、恐れるものなどなにもない。


「あいつらの加勢がいつまで持つか分からねえ! 速攻であいつの足を切り落とすぞ!」

「ヨイサホー!」


 船長の命を受け、ブラック・エリザベス号は加速する。

 波は渦巻き、砲弾が乱れ飛ぶ中を滑るように移動する船。そして遂にルイシャたちはク・ルウの懐までたどり着く。


「準備はいいな!? 行くぞ!!」

「はい!」


 バットの言葉に返事をしたルイシャは、ク・ルウめがけ跳躍しようとする。

 しかしその瞬間、大量のタコ型モンスターが海から現れ甲板に登ってきてしまう。


「こいつらは……」


 アイリスが嫌そうな表情を浮かべる。

 このタコたちはアイリスが以前島で出会ったものと同じだった。つまりこのタコたちはク・ルウの眷属。接近してきた者を倒すためク・ルウが生み出したのだ。


「慌てるな! エネルギーを消費してでもこんなことをしたってことは焦ってる証拠だ!」

「でもバットさん、このタコを倒さないと……!」

「馬鹿言ってんじゃねえ、俺の船員クルーを舐めんなよ!」


 スケルトンの船員たちはみな武器を取り、タコのモンスターに応戦する。

 少し押され気味ではあるが、十分に持ちこたえている。


「船長、決着ケリつけてきてください!」

「当たり前だ! お前らこそ死に急ぐんじゃねえぞ!」


 バットはそう叫んだあと、跳ぶ。

 ルイシャとアイリスも彼に続き跳躍し、ク・ルウの胴体に着陸しようとする。しかし、


『ルル……ッ!』


 それを察知したク・ルウは太い足の一本を振るい、彼らを撃ち落とそうとする。

 先に跳んだバットには当たらないが、その後ろを跳ぶルイシャとアイリスには当たりそうだ。


 それを察知したアイリスは頭をフル回転させ、もっとも合理的な選択をする。


「ルイシャ様。ヴィニスを……お願いします」

「え?」


 アイリスは腰から吸血鬼の翼を生やすと、ルイシャを抱え「はあっ!」と思い切り前方に投げ飛ばす。


「うわぁ!?」


 急加速したルイシャは、ク・ルウの攻撃から外れその胴体部に着地する。

 アイリスはただ一人、宙にとどまる形となる。


「後は頼みました。ここは……私が」


 自分に振り下ろされる太い足を見据えながら、アイリスは懐から保存の魔法効果が付与されている金属水筒スキットルを取り出し、その中身を口に含む。

 中に入っているのは愛する人の『血液』。それを飲んだアイリスの魔力は、爆発的に増加する。


「負ける気がしません……!」


 増加した魔力を、全て手にした剣に注ぐ。

 アイリスの持つ名剣『クリムゾンⅩⅡ(トゥエルブ)』は、自らの血液を刀身とする特殊な剣だ。血液量、そして魔力どちらも十分に満ちているアイリスはその剣の力を存分に発揮できる状態にあった。


「食らえ! 紅色に染まる月刃(ブラッディムーン)!」


 全ての力を使い果たすかのように、思い切り剣を横薙ぎに振るう。

 すると巨大な真紅の三日月が剣より放たれる。莫大な魔力が凝縮された三日月型の刃は、ク・ルウの太い足を両断してしまう。


『ルル……!?』


 驚いたような声を上げるク・ルウ。

 それを見たアイリスは満足そうに笑みを浮かべながら落下する。


「ヴィニス……もう少しだけ待っていて下さいね……」


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