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第1話 潜水開始

 よく晴れた航海日和。

 ルイシャ達は再び死海地点へと戻って来ていた。


 しん、と静まり返ったその海にルイシャは寒気を覚える。

 波もなく風もないその海は一見穏やかに見えるが、不自然なほどに静か過ぎた。まるで自分たち以外の命は何もないのではないかと錯覚するほどに――――


「この真下でいいんだな?」

「ああ。感じるぞ、この下に黒く大きな『意志』、を」


 シンディの問いにヴィニスは答える。

 彼は海の底にある何かと繋がっていると考えられた。シンディはその感覚を信じ、ダウジングのように使っていたのだ。


「よーし、それじゃあ目的地点に着いたことだし早速潜航の準備に入る。野郎ども、所定の位置につきな!」

「「「「ヨイサホー!」」」」


 船長の命に従い船員達が船の上をドタバタと動き回る。

 そんな彼らを見ていてもたってもいられなくなったルイシャはシンディに尋ねる。


「ねえ、僕に出来ることは何かある?」

「そんなもんないよ。邪魔にならないよう隅でジッとしてることだね。あんたらには底に着いてからたくさん働いてもらうんだから。しっかり休んどきな!」


 追い返されてしまったルイシャは仕方無く隅っこに避難する。そして遂にその時はやって来る。


「全ての帆を畳みました!」

「魔導エンジン、いつでも起動できます!」

「魔道具も魔力充填完了! いつでも行けますぜ船長!」


 全ての準備が完了したことを確認したシンディは、出発の号令をかける。


「行くぞ野郎ども! 目的地は海賊王が眠る場所、深海目指し全速前進!」


 ズズズズ、と音を立てながらルイシャたちの乗るグロウブルー号は沈んでいく。普通であれば絶望的な状況だが、船には空気の膜が張っている。中に水が入って来ることはない。


「うわあ、すごい……!」


 辺り一面に広がる海中の景色。それを見たルイシャは感動の声をあげる。普通に生きてたら見られない光景だ。


 船員たちもその光景に感動し指笛を鳴らすが、船長であるシンディだけはその光景を険しい目で見ていた。


「おかしい。いくらなんでも魚が少なすぎるね……」


 真っ青な世界には魚が一匹も見られなかった。シンディは嫌な予感をビンビンに感じながらも海の底、死の世界へ降りていく。その果てに彼女が見たのは、世にも恐ろしい光景だった。


「……船の墓場(シップグレイブヤード)とはよく言ったもんだね。正に言葉の通りじゃないか」


 海底一面に広がるのは大量の船の残骸。大きいのから小さいのまで、年代もバラバラの大量の沈没船が海底に敷き詰められていた(・・・・・・・・・)


 そしてその沈没船たちの中心部。ぽっかりと空いたスペースに……それはあった。


「シンディ、あれって!」

「分かってるよルイシャ。とうとう見つけたんだよあたし達は」


 ニイ、と笑いながらシンディは目指す、海底に沈み百年以上もの間姿をくらましていたその『島』を。

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