第6話 授業
そしてルイシャの学生生活は始まった。
Zクラスっていったいどういう授業をするんだろう? と不安だったルイシャだったが授業内容はいたって普通のものだった。
人間界の歴史や魔法の仕組み、そして他種族のことや他国との条約など授業の内容は多岐に渡った。
ルイシャも魔王テスタロッサに色々なことを教わったが、それは300年前の知識。
それ以降のことは知らなかったのでルイシャはすごく楽しかった。
しかし魔法の知識に関してはテスタロッサに教わったものよりかなり遅れているものが授業で出てきた。なんと人族は魔法の知識が魔族より300年以上遅れているのだ。
ルイシャは魔法について間違った知識を説明する先生に時折訂正をいれ、実践を交えて魔法の正しい説明をする。
「先生! その説明は違うと思います! 水魔法は大気中の水分だけじゃなくて、地下水脈にも干渉して水を生み出しているはずです!」
「え? そうなのか!? そんなのどの教科書にも載ってないがなあ……」
「じゃあ僕が実際にやってみせましょうか?」
「え? いいのか? じゃあ今から外に出て魔法の実習だ!」
ちなみに今やりとりしてるZクラスの担任の先生は、ルイシャの魔法を見て気絶した試験官レーガスだ。
まだ若く柔軟な対応が出来る彼は、ルイシャが授業を中断させてくるのを怒らず、むしろ感謝してどんどんその知識を吸収していった。
ちなみに彼をZクラスの担任に采配したのもユーリだ。
頭の硬い教師では若くて強大な力を持つルイシャたちの事を疎ましく思うだろう。そう考えたユーリは出来る限り最高の環境をZクラスに用意したのだ。
そうした助けの甲斐もあってZクラスの面々は充実した学生生活を謳歌した。
ルイシャも友達と遊び、学び、競い合う生活を心から楽しんで生活していた。
しかしそんな彼らを快く思わない者もいた。
「な、なんじゃこりゃあ!!」
ルイシャが学校に通い始めてから2週間ほど経った頃、屋外での魔法実習を終えて教室に戻ってきたバーンが赤いモヒカンを揺らしながら叫ぶ。
なんだなんだとクラスメイトが教室を覗き見ると、なんと彼らの教室がめちゃくちゃに荒らされていたのだ。
幸い貴重品は持ち歩いていたので無事だったが、机や椅子は散乱しゴミ箱はひっくり返されていた。