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第4話 クラスメイト

 Zクラス計画。

 それはエクサドル国王フロイが前々から温めていた計画だ。

 従来のクラス制度では優秀な人材を見つけることは出来ても、何か一点に特化したモノをもつ人物、『突出した才能』の持ち主を見つけることは出来ない。

 しかしそのような『突出した才能』は試験で測るのは難しい。なので試験で落としてしまうことも多く国王はそのことに悩んでいた。


 しかしそんな彼に転機が訪れる。

 それは息子である『ユーリ』の存在だ。

 彼は人を見る目に優れ、フロイの『突出した才能』を見つけることが得意だった。


 なので国王はユーリが学園に入る年になったこの年にZクラス計画を発動。

 今年入学する『突出した才能』をユーリに見極めさせ一つのクラスに集めたのだ。


 その話を聞いたルイシャとシャロはその『Zクラス』へ向かっていた。

 去年まで存在しなかったクラスなので教室は本校舎の隣に急増したZクラス用の校舎にある。大きさこそ本校舎に比べて小さいがしっかりとした造りだ。


「全く……こんな計画を考えてるなんてね。Aクラスに入って優雅な学園生活を送ろうとしてたのに」


 シャロがそうぼやくとルイシャがそれを宥める。


「あはは。まあでも一緒のクラスになれたからよかったじゃん」


「まあそれだけは感謝しないとね。……さて、教室にも着いたことだし王子様の集めた『変わり者』たちとご対面しましょうか」


 教室の前に着いたシャロは扉に手をかけ言う。

 二人はまだ見ぬクラスメイトに緊張しながら勢いよく扉を開ける。


 その瞬間、教室の中から一斉に好奇の視線が二人に注がれる。

 中にいたのは男女混合の10人の生徒たち。彼らこそユーリが厳選した『突出した才能』を持つ生徒達だ。


 二人はその視線に居心地の悪さを感じながら席につく。

 ルイシャは一番前の列の中央、シャロはその左隣だ。


 村育ちのルイシャは学校に通っていた経験がないのですごいドキドキしていた。

 友達がたくさん出来るといいなあ……などと悠長なことを考えていると、ルイシャの前に3人の生徒が現れる。


「ルイシャ、とかいったか。あんた試験場で派手に決闘してた奴だろ?」


 話しかけてきたのは赤いモヒカンの目立つ派手な生徒。その後ろには彼の友人らしき人物が二人。一人は坊主頭の小柄な少年、そしてもう一人は大人と見間違うほどの長身の生徒だった。


 3人とも育ちがいいようには見えない出立(いでた)ちであり、ルイシャに群がる光景はカツアゲしてるようにしか見えない。

 しかしルイシャは彼の威圧的な態度に全く動じずに「そうだよ」と呑気に返す。


 それを聞いたモヒカンの少年はバン! と机を叩くとルイシャに向かって大声で言う。


「おい! あの決闘……めっちゃいい試合だったぜ!!」


「……へ?」


 思わぬ言葉にきょとんとするルイシャ。

 その間にも彼は熱く決闘について語る。


「いやああんなに熱くなったのは久々だったぜ。剣相手に素手で挑むってのがやっぱ熱いよな。男はやっぱり素手で戦ってなんぼだからな。それに魔法もよかったぜ、お前の出した炎の熱さ俺にまで伝わってきたぜ!」


「そ、それはどうも」


「おっとそういや自己紹介してなかったな。俺は『バーン』ってんだ。得意魔法は熱い爆裂魔法、よろしくな! そんで後ろにいるこのでっかいのが『ドカべ』で小さいのが『メレル』だ。二人ともいい奴だから仲良くしてやってくれ」


「「よろしくー」」


「う、うん。よろしく」


 紹介された二人はフレンドリーな感じで握手してくる。

 意外な対応に戸惑うルイシャは3人に尋ねる。


「えっと、どうして初対面の僕にこんな風に接してくるの? まだ僕のことをよく知らないのに」


「え? そんなの決まってるだろ、あんな熱い闘いする奴が悪い奴なわけないだろ! なあお前ら」


 バーンの言葉に後ろの二人もうんうんと頷く。


「まあそういうワケだ。これからよろしくな!」


「……うん」


 バーン達の言葉を聞いたルイシャの目頭が熱くなる。

 自分の努力を認められる。それがこんなに嬉しいことだなんて知らなかった。

 頑張って強くなってよかった。


 ルイシャはこの時心からそう思ったのだった。


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