第3話 再会
「なんなの『Zクラス』って!? どういうことなの!?」
「私だって知らないわよ! ていうか去年までこんなクラスなかったわよ!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ二人。
そんな二人の前にある人物が現れる。
「やあ二人とも。朝から元気だね」
爽やかな笑顔で現れたのは、この国の王子「ユーリ」だ。
彼が登場しただけで周りの受験生の女子からは黄色い声援ならぬ黄色い悲鳴が上がる。まだ子供の身でありながら彼には既にファンクラブができるほど人気があるのだ。
そして彼の後ろにはルイシャが初めて見る人が付き添っていた。
背丈が高く、細身のその人物は衣服こそ普通だったが一ヶ所だけ異様な部分があった。
それは頭。なんとその人物はフルフェイスの兜を被っており顔が全く見えなかった。腰にはその兜によく似合う剣を差していたが守っているのは頭部だけ。なんとも異様な出で立ちだった。
ルイシャがその人物を凝視していると、それに気づいたユーリが彼を紹介する。
「ああ、ルイシャは彼に会うのは初めてだったね。紹介するよ、僕の護衛『イブキ・アイアンハート』だ。僕共々よろしくね」
ユーリがそう紹介するとイブキと呼ばれた兜の人物がルイシャの前にずいっと近づいてくる。
思わず圧倒されるルイシャだが、「こ、こんにちは……」とおずおずと手を差し出し挨拶する。
すると兜の人物はガシッと差し出された手を掴み、喋り出す。
「いやぁ~! これはご丁寧にどうもどうも!! 自分は坊ちゃんの護衛のイブキと申すっす、気安くイブキっちと呼んで欲しいっす! あ! お近づきの印に飴ちゃんでもいかがっすか? 遠慮しなくていいんすよ~! あ、シャロっちも飴ちゃんいるっすか? え? いらない? そんな事言わずに食べるっすよ~!」
「……え?」
突然の陽気に喋り出す兜の人物についていけず、ルイシャの頭の中は大混乱する。
その様子を見たユーリは「ぷっ」と小さく笑う。
「ふふ、面白いやつだろうルイシャ? イブキは護衛として素顔がバレないよういつも兜を被ってるんだ。変なやつだがいい奴だから仲良くしてやってくれ」
「よろしくっす~!」
「う、うん。よろしくねイブキ」
そう言ってお互いの自己紹介を済ませたルイシャとイブキ。
すると今まで黙っていたシャロがキレ気味にユーリへ話しかける。
「ちょっとユーリ! あんたアレいったいどういうことなの!?」
「ああ、『Zクラス』の事かい? 驚かせようと思って黙ってたんだ。びっくりしただろう?」
「そりゃ驚くわよ!」
わめくシャロを見て満足したのかユーリは困惑する二人に向けて説明を始める。
「『Zクラス』は今年から始まる新しいクラスなんだ。本来は成績優秀順にクラスを決めるんだけどこのクラスだけは別。このクラスは、他の人にはない『特別な才能』の持ち主だけを集めたクラスなんだ。つまり……Zクラスはトップクラスの変人の集まりってことさ」