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第8話 ライバル

 クルイーク達が倒した飛竜は彼らに運ばれ、甲板に降ろされる。

 まだ息があり時折り暴れるが、体に巻き付けられたワイヤーが絡まり飛ぶことはおろか歩くことすら出来ない。


 クルイークは怒りに満ちた目で自分たちを睨みつける飛竜の元に近づくと腰から抜いた解体用のナイフでその喉元を突き刺す。すると飛竜の喉元から物凄い勢いで血液が噴出し甲板を赤く染め上げる。そして血が噴き出ると同時に飛竜の目から光が失われいき、ものの数秒で力なくその場に倒れ込む。


「後処理は任せた」


 そう命じたクルイークは仲間に後を任せ、ルイシャとヴォルフに近づいていく。


「どうだったかな? 私たちの狩りは」


「お見事でした、あんな戦い初めて見ましたよ。あなた達の使ってる不思議な武器もとても興味深かったです」


「……やはりめざとい」


 ルイシャの言葉にその場の空気がピリつく。

 クルイークたちの戦いを見れば魔法で飛んでるのだと思うのが普通。しかしルイシャはそれが彼らの装備によるものだと看破していた。


「靴、それに槍も……ですよね? 普通の物とは明らかに違う。一般的な魔道具とは造りからして違うと思いました。詳しく見せて貰えませんか?」


「これから戦うかもしれん奴に見せると思うか? ホントに君は変わったやつだ」


 無邪気に装備を見せてと頼んでくるルイシャにクルイークはそう呆れる。


「しかしこの装備を見破った褒美に少しだけ教えてやろう。私たちの装備はモンスターの素材を利用して作られたものだ。例えば今解体している飛竜から取れる翼膜は加工すれば布よりずっと強靭な船の帆になる」


 そう言ってクルイークは手際良く解体されている飛竜を指差す。鱗に翼、牙に肉。それらはパーツごとに切り分けられ、瞬く間にまとめられていく。


「鱗は防具に、牙や爪はナイフや包丁に。肉はもちろん食用になる。商国ではモンスターの素材を無駄なく使っている。その加工技術は大陸一だ」


 クルイークはそう自信満々に言い放つ。

 現在王国や帝国では武器は鉱石を使い、それに魔法技術で特殊な能力を付与するのが一般的だ。モンスターの素材を使うのは前時代的と思われていてその加工技術は年々低下しているのだ。

 しかし頻繁にモンスターの襲撃に遭う商国だけはその技術が増していた。


「その技術力の結晶が私たちが装備している武具だ。この力を持って私たちは今回の天下一学園祭を優勝し、商国の強さを知らしめる」


 そう語る彼の目は自信にあふれている。どうやら本気で優勝する気のようだ。


「なるほど、でも僕も優勝しなくちゃいけない理由があるので負けてあげるわけにはいきません。悪いですが戦うことになっても手は抜きませんよ!」


「面白い、もしお前が勝ったら私たちの装備を見せてやってもいいだろう」


「え! ほんとですか!?」


「ああ、戦士に二言はない」


「その約束忘れないでくださいよ!」


 ルイシャは心底わくわくした様子でクルイークに向かって手を差し出す。すると彼もそれに応じて固く握手を交わす。


「じゃあ本戦で会いましょう」


「ああ、それまでに負けんじゃないぞ」


 そう約束して二人は別れる。再び相見あいまみえることを信じて……。

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