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第3話 創世王

 魔空挺スカイフォートには様々な設備があり、ルイシャたちは各々それらを探索して回った。

 本が好きなベンとローナは図書室に入り浸り、魔空挺を詳しく調べるユーリとイブキは船内を長いこと探索していたが、クラスメイトのほとんどは二時間もすると船内の広い共有スペースに集まり遊び始めた。


 最新技術の粋を結集して作られた魔空挺も彼らの好奇心を長いこと引き止めておくことは出来なかったようだ。


「いくぜ! 俺のターン、レッドワイバーンを召喚!」


 そう叫んでバーンがカードをテーブルに置くと、そのカードが光出し赤い竜が空中に現れる。二メートルほどの大きさの立派な赤い飛龍だ。

 バーンはその竜を見てへへん、と得意げに鼻を擦るとテーブルを挟んで向かい側に立っているチシャを挑発する。


「どうだ、俺の最強のレアカードは! お前にこいつが倒せるか!?」


「バーンのくせに中々いいカードを持ってるじゃん。でも負けないよ!」


「へっ、いつまで余裕でいられるかな? いけレッドワイバーン! チシャのモンスターに攻撃!」


 バーンの命令に従い、レッドワイバーンはチシャの召喚した青いスライムを炎のブレスで焼き尽くす。そのド派手な『映像』に観戦しているクラスメイトたちは盛り上がり歓声を上げる。


 彼ら二人がやっているのは今王都で大ブームを起こしている『創世王』と呼ばれるカードゲームだ。

 これはただのカードゲームではなく、なんとカードに描かれたデザインの人やモンスターが映像として浮かび上がるのだ。カードに軽く魔力を流しただけでど迫力の映像を見ることが出来るとあって子どものみならず大人にまで大人気のカードゲームなのだ。

 ちなみにこのカードゲームに出てくる人やモンスターは実際にこの世界に存在するものたちだ。なので自分の住む国の英雄のカードを集めるなどの収集要素も熱く、その売上は止まるところを知らない。


「やるねバーン。じゃあこっちも切り札を出そうかな! 僕は場のスライム二体を供物に捧げ、超超レアカード『帝国のつるぎ クロム』を召喚!!』


 チシャの目の前に現れたのは黒い軍服に身を包んだ剣士。帽子に隠れて素顔はよく見えないが僅かに覗くその顔は非常に整っている。

 クロムが登場したことによりクラスメイトたちの興奮はマックスになる。それほどまでにこの人物は有名人であり、そしてそのカードは人気が高い。それを持っているだけで生徒たちからは一目置かれるほどだ。


「あれが“帝国の剣”、初めて見たよ」


 少し離れたところから二人のカードバトルを見ていたルイシャがポツリと呟く。

 お腹が空いていたルイシャはシャロと二人でご飯を食べていた。ちなみにいつも付き添っている二人の従者は他のクラスメイトと遊んでいた、彼らもすっかりいい感じにクラスに馴染んでいた。


「ねえシャロ、クロムさんはこれから行く学園祭の会場にいるのかな?」


「まあいるんじゃないの? だってその人帝国の学園の先生なんでしょ、きっと来てるわよ」


「そうだよね! 会えたら嬉しいなあ」


 ルイシャは目をキラキラさせながらまだ見ぬ有名人に想いを馳せる。

 それほどまでにクロムと呼ばれる剣士は強い……と言われている。『剣士でクロムに並ぶ者はいない』と言われるほどだ。今この大陸で最も強いヒト族は? という議題でも真っ先に名前があがるだろう。

 元々スラム街で生まれ育ったクロムはその剣の腕一つで帝国の最も偉い役職に就き、帝王の右腕として働いている。同じように田舎の村で育ったルイシャとしてはシンパシーを感じざるを得ない。


「はあ、どうにかして手合わせ出来ないかな……」


「お願いだからそんな物騒なこと言わないでくれる?」


 冷や汗を流すシャロを他所に、ルイシャは最強の剣士に想いを馳せるのであった。

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― 新着の感想 ―
某人:ドロー!!モンスターカード!!
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