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第2話 決闘

 そんなこんなで仲良く登校する四人。

 するとそんな彼らの行く手を塞ぐ様に一人の男子生徒が現れる。

 短めのふんわりとした茶髪で、背はルイシャより少し高いくらい。ルイシャたちよりも少し大人びた顔立ちをしているところから上級生のように見える。


「楽しくお喋りしてるとこ悪いな。俺は三年A組のリチャードって言うんだ。俺の用件は……言わなくてもわかるな?」


「……分かりました。お受けします」


 そう言ってルイシャはカバンをヴォルフに渡し、リチャードの前に立つ。


「悪いな、こんな朝早く」


「いえ、最近こういうの少なくなってたんで嬉しいくらいですよ」


「へえ、言うじゃねえか。こりゃ楽しみだ……!」


 そう言ってリチャードはルイシャの足元に手袋を放り、ルイシャはそれを迷いなく拾う。これで決闘成立だ。

 ルイシャは入学してから何度も決闘をけしかけられていて、入学当初なんかは一日で十回も決闘を挑まれたこともある。もっとも入学してそうそう挑んできたのは早く名をあげたい一年生ばかりだったのだが。

 しかし入学して一ヶ月も経つと実力差を思い知った同学年の生徒達は大人しくなり、替わりに上級生達が決闘を仕掛ける様になってきた。ルイシャはそんな彼らを丁寧に一人づつ確実に倒し、いつしか上級生すらルイシャには挑まなくなっていた。

 しかし入学から四ヶ月経った今でもたまにこうして挑戦者は現れる。今でも挑んでくる挑戦者は今までの無謀な生徒達と違いちゃんとルイシャの実力を理解した上で勝負を挑んでくる者達だ、当然魔法学園の中でも上位の成績の実力者である。


「おい! ルイシャが決闘するってよ!」

「まじかよ二週間ぶりじゃないか!?」


 決闘が成立すると次々と野次馬の生徒達が集まりルイシャとリチャードを取り囲む。

 久しぶりのルイシャの決闘に生徒達は興奮し軽いお祭り騒ぎだ。


「全く、騒がしいと思ったらルイシャか……。最近は静かになったと思ったのに」


 やれやれといった感じで出てきたのはルイシャの担任の先生レーガスだった。

 どうやら立会人として生徒に連れてこられたようだ。


「あ、先生おはようございます。今日もよろしくお願いします」


「おはようルイシャ。ええと相手は……リチャードか。普段は大人しいお前が決闘を吹っかけるなんて珍しい」


 レーガスの抱くリチャードのイメージは品行方正な優等生、だ。

 とても下級生に決闘を吹っかけるようなイメージではない。


「はは、僕もそんな気は無かったのですが……流石にここまで一年生にいいようにされちゃ上級生の威厳が無くなっちゃうでしょ。ここは一つ上級生ぼくたちの意地を見せてあげませんと」


 そういってリチャードは構える。

 その表情は真剣そのものだ、ルイシャも彼の真剣さに応えるように拳を構える。


「二人とも、準備はいいな?」


「はい」

「ええ、もちろん」


 二人の返事に頷いたレーガスは上げた右腕を振り下ろす。

 その合図と同時に動いた……いや消えたと言ったほうが正しいか。行動を起こしたのはルイシャだった。

 彼はまるでその場から急に消えたかと錯覚するほどのスピードで地面を蹴りリチャードに接近したのだ。気功歩行術『縮地』だ。足裏に溜めた気功を爆発させその推進力で超加速する技だ。


「――――シッ!」


 そしてその速度を維持したまま必殺の膝蹴りをリチャードのボディに叩き込む。

 常人では何をされたのかすら分からないルイシャの必殺パターンだ。事実野次馬の生徒たちは目の前で何が起きているのか理解できなかった。

 しかし今日の対戦相手は一味違った。


「ぐっ……! さすがに強いっ!」


 リチャードはその衝撃で後ろに五メートルほど吹き飛んだものの、腕をクロスさせてルイシャの膝蹴りを防御していた。当然魔法で腕を硬質化している、なのでビリビリと痛むものの骨は折れておらず戦闘の続行は可能だ。


「今度はこっちの番だ、百連発火炎ハンドレイ・ファイア!」


 リチャードが魔法を唱えると彼の頭上に百発もの火炎球が誕生する。

 一度にそれだけの魔法を作り出し、操ることができるというのは彼がとても高い魔法技術を持っていることを証明する。

 そんな人物がまだこの学園にいたことに嬉しくなり、ルイシャは笑みをこぼす。


「ああ、今日はいい一日だなあ」


「その余裕、いつまで保つかな」


 リチャードはそう言い放つと生み出した火球を全てルイシャに降り注いだ。

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