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第6話 関所

 魔族領関所。

 魔族領と人間領を繋ぐこの関所には腕利きの門番が何人も配備されており、許可なく二つの領を行き来しようとする者を逃すまいと目を光らせている。


 ちなみに関所以外の境目には大きな壁が並び立っているのだが、そこを乗り越えようとすると魔法で検知されその者の情報が記憶される上自動警備システムにより捕縛される仕組みになっている。

 このシステムは三百年前に魔王テスタロッサにより考案され作られたシステムだ。

 実際に作られ配置されたのは彼女がいなくなった後なのだが、これが出来た後は侵入者が激減し魔族のみならず人間からも非常に高い評価を得ている。


 関所は二重構造になっており魔族領では魔族から、人間領では人間から通行証を確認される。

 番人には愛国心の強い者が配備されるので、賄賂を積んでも他種族からは許可を得られないのでこの仕組みは非常に強固だ。


 しかしその許可証が悪人の手に渡ってしまった場合はその限りではない。


「〜〜〜♪」


 鼻歌を歌いながらウラカンは関所の番人にこれ見よがしに許可証を見せつける。

 番人はその許可証が魔王国大臣グランツが発行した正式な物だと確認すると部下に指示を出す。


「許可証は本物だ。残りの馬車も確認しろ」


 言われた部下たちはウラカンの乗ってる馬車以外の馬車の中を確認する。

 それらの馬車を引くのは普通の馬の三倍は大きい馬型魔獣グレートホースだ。強靭な足腰を持ち、三日三晩走ることができる優秀な馬だ。


「で? ウラカンさん、こんなにたくさんの部下を連れて人間領になんの用だい?」


 ウラカン一行の馬車は全部で十台。そしてその全てに魔人が十名近く入っている。

 いくら許可証が正式な物とは言え怪しむのは当然だろう。


「ふふ、人間の国の視察さ。部下は確かに多いがなんせこっちには名家出身である私とグランツ大臣がいる。少し過剰なのは目を瞑って欲しいな」


「視察、ですか。いったいどちらに?」


「エクサドル王国です。そこの王と会談がありましてね。今後の魔族と人間の共存について会談をする予定になっています」


「なるほど、間違いないですか大臣閣下」


 そう言って番人はウラカンと同じ馬車に乗っているグランツ大臣に尋ねる。


「……相違ない」


 大臣は短くそう言うと再び黙る。

 いくら怪しいと言っても大臣にこう言われてしまっては通すしかない。


「……分かりました通ってください」


 後ろの馬車にも不審な点はないと部下から報告を受けた番人は渋々ウラカン達を通す。

 許可を得たウラカンは貼り付けたような笑みを見せ「ありがとう」と言うと正々堂々と関所を通過していく。


「……よかったのですか」


 その様を見ていた部下は上司にそう尋ねる。


「致し方あるまい。私たちに彼らを止める権限などないのだから」


 そう言いながらも彼は歯噛みする。

 ウラカンの顔、あれは他人を下に見ている顔だ。あの手の輩はロクな事をしでかさない。

 彼は経験でその事を分かっていた。


「奴らのことを一応ポルトフィーノ様の耳にも入れておこう。あのかたは信用できるからな」


「へ? でも今回のような大規模の視察でしたらポルトフィーノ様の耳には入っているのでは?」


「普通であれば、な。だが奴らの独断だとしたら非常にまずいことになるかもしれん。一応耳に入れとこう」


「わ、分かりました」


 そう結論づけた彼らは後ろ髪を惹かれながらもウラカン達を見送り、門を閉じるのだった。

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