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第5話 ラミア

「で? ルイシャは何をしてたんだ?」


「え、えーと……」


 ベンに聞かれ口ごもるルイシャ。

 自分の事情に二人を巻き込むわけにはいかない。

 しかし困っているのも事実だ。なので二人には詳しいことは伏せて聞いてみることにした。


「実は今他種族のことについて調べてるんだ。興味があって」


「ほう。それならば俺も少しは役に立てるぞ」


 眼鏡を光らせベンはずい、と身を乗り出す。

 なんでも聞けオーラがすごい。そういえばベンは特に歴史や地理に詳しかった。この手の話題は大好物なんだろう。


 そこでルイシャは蛇人族(ラミア)と妖精族について聞いた。

 獣人は今度獣人に聞けばいいがこの二種族に関していえば会うことすら困難だからだ。


「なるほど、蛇人族に妖精族か。なかなかいいチョイスだ」


 なぜか嬉しそうにニヤリと笑うベン。説明しがいがあると言う意味なのだろうか。

 彼は「失礼」と少し席を外すと図書館の奥の方に行き、一冊の本を持ってくる。


「待たせたな。これを読んでみるといい」


 そう言って持ってきたのは表紙に三つ目の魔獣が描かれた「第三の眼を持つ種族」と書かれた本だった。

 面白そうな本ではあるのだがとても蛇人族と妖精族に関係があるとは思えない。そんなルイシャの不安を感じ取ったのかベンはその本をめくりながら説明する。


「蛇人族は情報の少ない希少種族だ。人と出会った記録もほとんど残ってないからそれを記録した本も無い。だがこの本に少しだけ記録が残っていたはずだ」


 ベンの言うとおりその分厚い本の中の一ページにだけ蛇人族に関する記述があった。

 それはこの本の著者が実際にラミアと会ったときに聞いた記録らしい。信憑性は高そうだ。


 書かれてる内容はこうだ。


『ラミア、彼女たちは不思議な種族だ。彼女たちは豊潤な魔力を持って生まれ、それを用いて未来を見通すことができると言う。彼女たちの長である蛇王にいたっては何百年も後のことまで分かるらしい。この能力の事を彼女たちは第三の眼と呼んでいた、なのでこじつけではあるがこの本に記すことにした。なにぶんラミアに会えたのは一度きりなのでこれ以上書くことがない、普段の彼女たちは熱帯の森深くに住んでいるため会うことができないのだ。私は運悪く遭難した時に会えたが……もう一度会うことは叶わぬだろう。非常に残念だ』


「『しかし彼女たちの能力が悪用される事を考えたら人間はラミアと会わない方がいいのかもしれない』……か、スゴいねこの本。短い文だけど情報量がすごいや」


「ふふふ、そうでしょう。どうやらお役に立てたようですね」


 ベンは眼鏡をクイと上げ得意げに胸を張る。

 とてもルイシャ一人じゃこの本に辿り着くことは出来なかっただろう。


「ありがとう。ところで妖精族の本はないの?」


「ぐむ、妖精族か……。残念ながら私も妖精族のことは御伽噺以外には知らないのだよ。そもそも本当に存在するのかも疑わしい種族だから本にも残ってないだろう」


「そうなんだ……」


 落ち込むルイシャ。しかし蛇人族のことが分かったのは収穫だ。

 その後もしばらく本を読み漁ったルイシャだったが、ベンに教えてもらった以上の収穫はなかったので二人に別れを告げて図書館を後にしたのだった。

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