第24話 脱出
ゴーレムを倒したことと再会を喜び合う六人。
するとそこにシャロも戻ってきて無事全員が揃うことになる。
「あ、おかえりシャロ」
「ええ。どうやらこっちも片付いたようね、おつかれルイ」
荒れ果てた部屋とルイシャにすがりつくようにまとわり付くジャッカルの三人を見たシャロは大体何があったかを察する。
「あんたも変なのばっかに好かれるわね」
「はは……」
あながち否定できないルイシャは乾いた笑い声を出す。
危機も去り気の緩む一同。しかしそんな彼らを急かすかのように異常事態が起こる。
「ん? なんか揺れとらんか?」
最初は微弱に感じられた揺れは次第に大きくなっていき、やがて立つのもやっとなほどの大地震になる。
「な、なにが起きてるの?」
「ダンジョンが崩れてるんだ! 早く脱出しないと生き埋めだぞ!」
ルイシャの問いにマクスが答える。
クリアしたダンジョンはその力を失う。
なので大きなダンジョンは自らの重さに耐えきれず自壊するものも多いのだ。
しかし普通のダンジョンであれば逃げ道が用意されるのだが……マクスが見渡す限りその様なものは見つからなかった。
(どういう事だ!? 殺意が高すぎるだろ!! 確実にここで殺す気か!?)
マクスは知る由もないが、ここは勇者の秘密を守るために作られたダンジョンだ。
なのでこのダンジョンを作った者は用心に用心を重ねて侵入者対策をしていた。
それがゴーレムとダンジョン崩壊だ。ゴーレムで侵入者を倒せなければダンジョンもろとも生き埋めにする。
そして資格のあるものは壁画の部屋に置かれた転移装置で地上に戻る……事になっていたのだが、それを教えるはずのゾンビの女性はそのことをすっかり腐り忘れてしまっていた。
今から地面を掘って壁画部屋に戻る時間もない。絶体絶命だ。
「マクスはん! なんかええアイテムはないんか!? このままじゃ雁首揃えてお陀仏やで!?」
「うーん……あることにはあるんだが……」
そういってマクスが取り出したのは三十センチほどの短いロープだった。
「これは『穴抜けロープ』っていう魔道具なんだ。魔力を込めると縄が伸びて、囲んだ人間を地上にとばすことが出来る魔道具なんだ」
「なんやええのがあるやん! はよそれで帰ろうや!!」
思わぬ魔道具の出現に喜ぶルイシャたち。
しかしなぜかジャッカルの三人は浮かない表情だった。
「どうしたの? 早くこれで脱出しようよ」
「……すまねえ兄貴。この魔道具はいくら魔力を流したところで二、三人くらいしか転移できねえんだ。つまり……全員助けるのは無理なんだ」