いちご・風の中
掲載日:2016/07/14
気持ち悪い表現と取れるところもありますので、ご留意願います。
「いちご」
お母様が眠っている
私はいちごの砂糖漬け
三匹の猫はしっぽを揺らし
両目をキラキラ光らせている
お母様が夢に笑う
私はいちごの砂糖漬け
重たい体のすべての穴に
砂糖がぎっしり詰まってる
言葉を亡くしたお人形を
抱いた私は砂糖漬け
脳病院の青い窓から
紙ヒコーキが滑り落ちる
「風の中」
甘い果物の蜜を吸う
私の眼にある夜
カレイド・スコープが踊る
瞬く間に眠りに引きずられ
覗き込んだ奥に自動人形の影が
恋人同士の口づけのかたちに
私の下瞼に熱い水がたまり
私は蝶になりフラフラと
空気をつかみさまよう
大気は私の体を殴り
けがれた羽虫の群れが
足元から私を包み込む
レコードの針は傷をなぞり続け
渦を巻く夢の中で
私は鈍い腹の痛みに
耐えていた




