施設案内及び初心者講習〈抜粋〉
施設案内と初心者講習はこちらになります!
読み飛ばしても問題なしです。
一階ホール
「まずここは、冒険者ギルド一階の受付です。依頼の受理や受付、達成の報告、報酬の支払いなどを左手の受付、新規登録、ライセンス情報の更新、クランの結成、加入、その他のご要望については右手で受け付けております」
一階治療室
「こちらは治療室です。ここでは冒険者に格安で治療をしています。ですが、治療できるのは簡単な毒、外傷、ヒビ程度でして、骨折や欠損の治療は応急処置しかできません。重症の方はアスクラピアの方にお願いします」
一階魔石交換所
「交換所では魔石とエリスの交換を行います。高品質、中品質、低品質の三つのグレードと量で換算を行っています。けど、例外として特殊な魔物の魔石については別途換算しますのでできるだけ魔物の名前は覚えておいてくださいね。ちなみに、ヴェルギア大陸の通貨は全てギルドが作っていて、流通量は魔石との交換でだけ増えるんですよ!」
二階迷宮食い
「ここは、ギルド直営店の『迷宮食い』です。普通の食事もありますが、メインは魔物を調理した魔物料理ですね。ダンジョンの魔物は使っていないので、安心してください。結構美味しいですよ、私もよく食べます。時々すごいのもあるんですけどね……」
「あちら、右手の壁にも一階と同じ依頼掲示板があります。依頼を受けるときは依頼番号を確認して一階の受付にお申し付けください」
三階資料室
「三階と四階には資料室が設けてあります。冒険者やダンジョンに関する探し物もこちらでお探しいただけます。冒険者名簿、クラン名簿等についても置いてあります。なお、資料室の書籍はオーブにして販売もしてありますので、よろしければご購入ください!
以上で施設案内を終わります。講習もこのまま行いますので受ける方はこちらへどうぞ」
三階講習室
「こんにちわ、改めまして、講習を受け持つリフィユです。リフィとお呼びください。新規入会の冒険者の皆さん、よろしくお願いします」
「では、早速新人冒険者の講習に入りたいと思います。この講習で皆様に覚えていただくのは、冒険者の権利、義務、そして使命の三つ、それから、ダンジョンの構成です。まずは、権利から」
リフィさんが懐からカードを三枚取り出し、その中の一枚、ブロンズのカードを見せる。
「皆様はすでにライセンスカードをお持ちのことかと思います。この銅色のカードですね。これはターシャリ・ライセンスカードといい、第三等級冒険者、下級冒険者に渡されるカードになります。ターシャリ・ランクでは治療室、『迷宮食い』の割引、三階資料室の利用、武器・防具のレンタルなどを利用できます。これが権利ですね。そして、これに対応する義務として、毎月1万5000エリスをギルドに納めていただきます」
「レンタルって、壊れたら幾ら支払えば?」
「壊れた場合は持ち手の部分さえあれば、レンタル代だけで構いません。無くした場合は買い取って貰います」
「では続けます。ターシャリ・ランクの上がセカンダリ・ランクになります。このランクからが一人前の冒険者と認められる境界ですね。ターシャリがセカンダリに昇級するには二つの方法があります。一つが魔石を750kg納め、昇級試験に合格する。もう一つが魔石を1500kg納める。この二つになります」
リフィが次のカードを出す。銀色のカードだ。
「これによりセカンダリに昇級しますと、更に4階資料室の利用が認められ、割引額が多くなり、ランキング戦への出場資格が与えられます。また、登録名が一般公開されますので、ランキング戦と相まって企業からの指名などを得られる場合があります。しかし、会費は年二回、25万エリスに上がります。とはいえ、セカンダリに昇級された冒険者でしたら、25万エリスは難しい額ではないでしょう」
「四階には何があるですか?」
「資料室三階には冒険者名簿、クラン名簿、ダンジョンマップ、ギルド新聞から、武術書、魔術書、魔物図鑑などまで、この街の本屋で売ってあるような本は大体置いています。なお、三階にある書籍に関しては多くがオーブとして売られています。そして、四階には、確認された魔人の情報、古代魔法理論、上級応用魔法、古流武術の秘伝書など市場には出回らない貴重な書籍を保管してあります。四階の資料は大半がオーブになっていませんが、基礎ができたあとのスキルアップにご活用ください」
「続けます。セカンダリの上が最上位、プライマリになります。昇級資格は魔石10tの納入、かつ、昇級試験の合格です」
リフィが最後に見せたのは三枚目、金色のカードだ。
「魔石10tの達成年齢は40代前半が多いですね。プライマリに昇格すると当ギルドの施設を無料でお使いいただけます。また、銃弾や矢などの消耗品の補充、武器の整備も無料でやらせていただきます。その代わり、年300万エリスを納めていただくことになります。また、プライマリには強制ミッションを発行することがございます。これに応じない場合は即時セカンダリに降格する場合がございます」
「では、次に冒険者の使命についてご説明します。冒険者の仕事は魔物の駆除、それに尽きます。そして、ギルドの目的はその助けをすること。なぜ私たちが魔物狩りを支援するのか、というと、実はこれは世界のためなんです。邪神の眷族である魔物は誰かが狩らない限り無限に増え、ありとあらゆる生命を食いつくしていきます。現に今は暗黒大陸と呼ばれるディノスギア大陸はそのほとんどを邪神の領土にされました。私たちの活動は生ある者全てのために行われる必要があるのです。これから冒険者として生きるに当たりましては、どうぞこの使命を忘れずにいて下さいね」
「最後になりますが、ダンジョンの構造について簡単にご説明します」
リフィさんが壁に掛けてある大きなマップをトントンと叩く。
「現状ではダンジョンは大きく5層に分けられています。
一番上が、浅層1~3階。ここに出現する魔物は多くの場合外にいる魔物にすら劣るような、かなり弱いものです。武器を持った成人男性ならば十分に対処しうるものでしょう。まずはここで経験を積んでいくのがいいと思われます。
二番目が、上層4~10階。成人男性なら5人程集まれば進めるでしょう。訓練された者なら一人で進むことも容易いと言われています。多くのソロ冒険者が安全を期してこの辺りで魔石を集めていますね。地形はジャングルに近く、植物がよく繁っています。
三番目が中層11~20階。ここからは熟練した冒険者でない限り一人で進むことは推奨できません。また、熟練パーティーですらイレギュラーモンスター、トラップ、ハザードに巻き込まれれば全滅する恐れがあります。上層とは比べ物にならないほどに負傷率、死亡率が上がっています。
四番目が下層21~30階。プライマリでも万が一があるのでソロは推奨できませんが、代わりに得られる魔石は品質が良いですね。溶岩も氷山もあってなかなか壮観ですよ。23階にはいつかぜひ行ってみてください。
最後が深層31階以降。深層からは極めて危険な邪神の領域となっており、ダンジョンが形を変え、常に構造が変化します。出てくる魔物も千差万別でプライマリが束になっても太刀打ちできない強さの場合もあるそうです。もし、下層に行くことがあっても相応の用意をしていない場合は深層には近付かないようにしてくださいねー。
では、以上で講習を終わります。格安で初心者訓練もやっておりますので、腕に自信のない方はそちらの方にもご出席下さい
あ、ケントさんは絶対初心者訓練受けてくださいね!」
ざわざわと他の新米冒険者たちが立ち上がり講習室から去っていく。