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憶測の確認

 体力、筋力が人知を超えていれば人を背負いながら四階から飛び降りてもまったく怪我もなく、桐生は着地後すぐにまた駆け出していく。窓から顔を出すヘルメット男も四階の高さに臆することなく飛び出して、こちらは建物の壁にかかる別の建物の影の中に潜り込んで、それを伝って地に降り立つ。これらを見て、病室の中のヴァイスは得物を鞘に収めて携帯電話を取り出し、素早くメールを打った。


「ヴァイス・サイファー、お前は追わないのか?」と沢村が聞く。


「いますぐに追わなくとも、そのうちあなた方から俺を必要として連絡をしてくるものでしょう。誠司とも話をして日本のUWがどういうつもりなのか大方わかりましたからね。それよりも沢村さん、あなたに確認しておきたいことがある。あの男の体の中に埋め込まれたゴム毬のエネルギーと毒について、その危険性をあなた方日本のUWはどこまで知っているんです?」


「イギリスからは何も知らされていない。ただ、こちらが調べた限り、高密度でエネルギーと毒が凝縮されていることは知っている。まだ憶測でしか物は言えないが、ただそれだけでも十分に危険だということは理解しているつもりだ」


「なるほど。ちなみに、最初にあの青年を保護したイギリスのUWは、そのエネルギーと毒についてどこまで知っていると思われます?」


「それも憶測でしか物は言えないが、私たちと同じように少なくとも気付いていないことはないと思う」


「イギリスのUWは彼を巡っていま二つに割れているとか。故郷に帰そうとするイーニアス・ローウェルと、あのヘルメット男を送り込んで拉致しようとする別の派閥。仮にエネルギーや毒のことを知って、日本のUWも二つに割れるようなことには?」


「それはない。私が断じて許さない」


「頑なにものを捉えようとすると割れやすいものですよ。もっとも、信念がないよりかは全然マシです。まだまだあなたは信用できると思える。わかりました。こちらとしてもそれだけ聞ければ十分です。自分の任務はあのゴム毬の完全機能停止。ベクトルが重なれば、また協力することになりますよ」


「あの蓄積された毒、やはり異常な病気を起こす可能性があるのか?」


「想像に任せますよ。断定しないほうが、取引には扱い辛い」


 ヴァイスは扉から病室を出て行く。



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