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飛田俊雄の場合 05


第五節


「このフロアから出るのは禁止。エスケープによる試合放棄はした方が負けだ。それでいいね?」

「元から逃げる気なんかねえ。行くぞ!」

 光はすっかり乗せられて、「男を賭ける(女にされる危険性がある)」メタモルファイトは極力やらないという誓いを簡単に破ってしまっていることに気付いていない様だ。

 光が一歩踏み込んで前蹴りを放った。

 前方に突き出す蹴りである。

 すんでのところでかわし、距離を取る飛田。

「ひょー怖い怖い。空手使いか」

「逃げんな!」

 追いかけて正拳突きを放つ光。

 がっしりとガードで受け止められる。

 再び飛田が距離を取り、端に追い込まれない様にフロア中央に戻ってくる。

「おっさん…ガード技術がかなりしっかりしてやがる」

「あれだけ挑発するだけのことはあるって訳ですね」

 ジャンプなどではまずかわせない中段の回し蹴りをブロックさせ、上段の突きを意識させて足元に水面蹴りを放ったりと、いつもはいいところの無い光が存分に空手家の本領を発揮していた。

 ただし、全てガードされている。

「…当たらんな」

「メタモルファイトは、相手に接触して能力を発動しますからね。ブロックしながらブロック部分に意識を集中していればまず掛かりません」

 その後数分に渡って光は得意の空手技を繰り出し続けたが、全てかわされ、ブロックされた。

「…悪くない。一般人相手ならまずキミの勝ちだろう。生半可なメタモル・ファイターにも負けまい。しかし、世の中一本調子だけでは渡って行けないんだ。それを勉強してもらう」

「ほざけ!」

 飛田のへろへろなパンチが飛んできた。

 敢えてブロックする光。

 次の瞬間だった。

 ぶわり!と漆黒の黒髪が宙を舞った。

「えっ!」

 それは光のものだった。

 突然の変化に驚き、戸惑う。

「馬鹿な!ちゃんとブロックしたぞ!」

「でええああああ!」

 髪を振り乱しながら回転ひじ打ち!をフェイントにして一歩踏み込んでのローキックを放つ光。

 かわせずに足元にかする。

「やった!ブロック無しで入った!」

「これまでだな」

 クリティカルにヒットした訳ではないが、光クラスの攻撃がノーガードの箇所に入ったならば、その後の性転換はメタモルファイターでも避けられないはずだ。

「…どうした?何を驚いてる」

「馬鹿な!何故変身しない!」

 長い髪を振り乱して驚いている光。顔の造形もかなりもっていかれているらしく、可愛らしい。

「インチキ…?イカサマか」

「どんなイカサマですか」

「実は一般人とか」

「ならブロックされても発動します。メタモルファイターなのは疑いようがない」

「じゃあどうして変身しないんだ!」

「…精神力が並はずれて高い?…しかし」



(続く)


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