安藤士郎の場合 23
第九節
「ウーさんって昨日あったってストリートギャングの抗争はご存じですか?」
「ん?昨日っつーかここんとこ結構起こってる奴ね。一応知ってるけど」
「地域掲示板を読んだんですが、未確認情報だと謎の身元不明女性が保護されたって」
「そーみたいだね」
「どう思います?」
「どうって…勝手にやればいいんじゃ?あたしはまっとうな客商売だから。たまに人身とかも売るけど」
「…今のは聞かなかったことにします」
「回りくどいな。このおばさんに何が聞きてえんだよ?」
「おばさんゆーな!このセーラー服男子が!」
「お前なー!」
周囲がざわっとした。
あっちの女子高生二人組なんぞこちらをみてヒソヒソ話してる…最悪だ。
「じゃあ単刀直入に聞きます。関わってませんよね?」
しばし沈黙。
「…もしかしてあたしを疑ってんの?」
「一応」
ありえない!という風情で首を振るウー…女子高生ルックの。
「なんでそんな一円にもならんことをしなきゃならんのよ」
「お店を破壊されたとか」
「だったらそんな程度じゃ済ませないし」
さらっと恐ろしいことを言う。
「つまりどういうことだよ」
「…とりあえずお開きですね。ご馳走様でした」
(続く)