安藤士郎の場合 22
やっとギャルっぽくなってきた。リアリティがあるのかは知らん。
「ま、でもあんでしょ?コスプレイベントとか。そーゆー時には使ってもらってもいいよ?まけてあげるから」
「いい年こいた女の普通のチャイナドレスってコスプレになんのか?」
「自分で言うけどあたしが作る女ってむっちゃレベル高いから問題ないって。大体本場の中国だってあんなスリット入ったチャイナドレス着てる女なんて高級レストランのウェイトレスくらいしかいないよ。その辺歩いてると思うワケ?」
「やっぱそうなのか…」
「それに恰好が気に入らないなら勝手に着替えればいいでしょうが。ちょっとおっぱい大きいけど女が女物に着替えるのは自然だし。どうせ自分で自分を変身させられないんだからさ」
「服はどうすんだよ。普通の男は女物なんぞ持たんの!」
「女になってんだから普通にブティック行って適当なの買えばいいじゃんよ!」
「そのセールストークは変身したくてたまらない一匹狼に言うべきですね。水木さんみたいな。ボクらはそもそもファッションとしての性転換は望んでませんけど、仲間がいるんで変身自体には不自由してません」
「ちっ!これだからツルむ連中は嫌いよ」
なんつー自分勝手な奴だ。
「そういえばツルむといえば…」
何か思い出した様子の斎賀。
(続く)