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安藤士郎の場合 10
「何だと?」
「これからは純粋な腕試しファイト以外でメタモルファイター同士の戦いが起こるかもしれません。勇んで乗り込んでいった『悪の組織』の用心棒に飛田さんみたいなのが何人もいたらどうなると思います?」
思わず身震いをする橋場。
あの黒ストッキングとタイトスートに気が付いたらなっていた体験はそれなりにメタモルファイト慣れしてきた橋場ですら二度と味わいたくないものである。
確かにあの飛田とかいう中年オヤジはメタモルファイトに関しては恐ろしいほど強かった。
恐らく三人がかりでも適わないだろう。
「そりゃ…困るな」
「いよーお!お二人さん!」
素っ頓狂な声が突然背後から飛び込んで来た。
「!?」
振り向くのと同時だった。
「…!?わああああっ!」
一陣の風が二人の股間と両の素脚を撫でながら駆け抜けて行った。
(続く)