安藤士郎の場合 04
寝室でパジャマ姿なのに靴だけはしっかり履いているみたいな例えようのない違和感だ。
主に下半身を襲っていた違和感にかき消されていたが、やっとより近いものへと意識が移った。
「あ…あ…」
上品なブラウスにリボンタイが豊かな乳房の上に流れている。
その胸には確かに自らの神経が通っていた。こ…この締め付ける感じって…もしかして、ぶ、ブラジャー
!?
耳が厚ぼったい。
長い髪が背中側を中心に腰の近くまで流れ落ちている。それによって耳や首筋がすっぽり覆われてしまっ
ているのだ!
金髪マッチョ…今は金髪でもマッチョでもないのだが…は自分の視界からは確認出来なかったが、後頭部
には制服の素材に合わせた大きなリボンが可愛らしく留められているのだった。
「近所のお嬢さま学校の制服だよ。どうだ?着心地は」
「貴様…何をしやがったぁ!?」
目を見開き、ガニ股で身を乗り出して来る“お嬢さま”。
「だから言っただろうが。最初に降参しとけばこうならなかったんだぜ?」
つかつかと歩いてくる安藤。
「お…お前…何を…」
長いスカートと、長い髪のシルエットが何とも美しい。金髪マッチョは今や上品な制服に身を包んだ“お
嬢さま”となりはてている。
(続く)